松沢呉一のビバノン・ライフ

なぜACT UPは表現規制に反対するのか-ACT UP 5(松沢呉一)-3,818文字-

社会活動とデザイン-ACT UP 4」の続きです。

 

 

コールの変容と継承

 

vivanon_sentence10日に予定している「ACT UP&TALK OUT」は思いついてから二週間しかなく、告知は一週間前。夏休みだわ、お盆前だわで、平日だわで、条件が悪すぎて、「ガラガラだったらどうしよう」と思っていたのですが、Facebookのイベントページで、関係者を除く「参加予定」が30人を超えたので、一安心です。通常、この1.5倍程度は来ることになっていて、パンディットは椅子席50ですから、満員決定。

立ち見が出る可能性もあるので、映画については18時からの回に来た方が確実です。そのまま席を確保できますし。

これ以上、告知する必要はないのですけど、ホントにこの日は面白くなりそうです。Facebookにも書いたように、出演者の間ですでに面白い議論がさまざま出ています。ここに出ている「クラブとライブハウス」というテーマもそうですし、コールについての考察も抜群に面白い。

 

 

高校生デモでは、「とりま」「それな、それな」という言葉、また、コールのスピードが話題になってましたが、基本スタイルはSEALDsのコールを踏襲しています。踏襲しながら、新しい言葉を加え、テンポを速めています。

以下はSEALDs。

このスタイルはその前のSASPLから始まってます。はっきりその経緯を確認できてないですが、おそらくラッパーのUCDがその多くを担っています。

オキュパイ運動の際に各地に広がった「Tell me what democracy looks like! Tell me what democracy looks like! 」も、彼らによって、少なくとも若い世代には定着。

 

 

これだけ長い英語のフレーズが定着したのは日本の運動史ではこれが初めてのことじゃなかろうか。

 

 

人が変わればコールも変わる

 

vivanon_sentenceこれらのコールは若い世代が中心になっているわけではないデモにも影響を与えていることは前に書いた通りですが、昨日、「親がデモでSASPLのコールを真似している娘」に聞いたところによると、年配層にも受けはいいらしい。「コールはこんなもん」という思い込みで過去のコールをなぞってきただけで、間延びしたコールは年配層でもやっぱり間延びして感じるってことでしょう。しかし、年配層は自らそれを変えることができないでいました。

コールがはっきり変化してきたのは反原発運動あたりからで、新しい層、新しい世代が入ると、さまざまなところにそのことが表れてくるわけです。

ACT UPのコール、オキュパイのコール、全共闘のコール、組合のコール、反原発のコール、ヘイトデモのコールを比較していくと、その短いフレーズの背後にある意識が見えてくるところがあります。「コールの比較文化論」であります。

 

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