ソウルで吸い殻の行方を追う-ゴミと公共心 2-(松沢呉一) -2,801文字-
タバコを吸うための工夫さまざま
以下の話は「タバコを吸うことの是非」「それを規制する法律の是非」についてはいったん横に置いてお読みください。ここでのテーマはゴミです。
前回書いたように、韓国ではタバコの規制が強まり、公共の場では喫煙所でしか吸えない。会社の中でも吸えない。ホテルでも、個室では吸えず、喫煙ルームに行くしかないのですが、喫煙ルームがないホテルもあります。私が泊まったホテルもそうでした。
その場合は外の喫煙所まで行くしかないのですが、喫煙所の数は少なくて、東京よりも少ないと思います。
ほんの一部、喫煙ルームが設置されている飲食店がありましたが、それ以外では店内では吸えない。メシを食いながらタバコを吸えるのは屋台くらい。公道であっても、その場所は屋台が占有しているので、法的にも屋外の私有地扱いになって許容されるのかも。あるいは黙認されているだけか。韓国の法律の条文までは調べてないのでよくわからんです。
しかし、屋台以外でも、店の前にベンチと灰皿が置いてある店はよくありました。コンビニでもありました。屋外かつ敷地内であれば合法かとも思いますが、歩道に灰皿を出している店も見ます。
上の写真の店は灰皿を出してますけど、灰皿ではなく、空き缶の店もよくあって、おそらく本当は違法なので、空き缶に客が勝手に捨てている体にしているのだと思います。
厳しい規制の結果、吸い殻は適当に捨てられる
では、それ以外ではどうしているかというと、結局のところ、皆さん、路上で吸ってます。実際、これで捕まることはまずないそうです。
ただし、歩き煙草はせず、道の隅に集まって吸います。朝方や昼の休み時間はコーヒーを飲みながら、コンビニの前でビジネスマンたちがタバコを吸う風景がよく見られます。
この写真も朝のコンビニ前で撮ったものであり、喫煙所ではありません。後ろ姿の女性も写ってます。たぶん比較的若い世代が集まっていたので、女性でも気兼ねなく吸えるんでしょう。
わざわざ写真を撮ったくらいで、昼間っから目立つところでタバコを吸う女子は少ないんですけど、女子がタバコを吸うこと自体がなお韓国では抵抗になるんだと思います。
こういうところで吸う場合に吸い殻をどうするのかと言うと、適当に捨てます。私は韓国でも携帯灰皿を使ってましたが、韓国で携帯灰皿を持っている人はまったく見ませんでした。一人もです。
右の写真は飲食街の中にある駐車場なのですが、同時に近隣の会社員たちが休憩する場所でもあって、ほとんど常に人がいて、次々と人がやってきて、コーヒーを飲みながらタバコを吸ってました。
その結果、この状態。ひどいでしょ。よーく見ると、写真の奥の方でもタバコを吸っている集団がいますね。あっちにも同様の植木用の鉢があって、そこも吸い殻でいっぱいです。
私は日本に生まれ、日本で育っているので、「おまえら、もうちょっとなんとかしろよ」と思わないではいられませんでした。
ところが、ほんの数時間後に行ってみたら、この状態。吸い殻もゴミもきれいに片付けられていて、吸い殻のひとつも残っていませんでした。
なーるほど、吸い殻を捨てていいような工夫がなされているのか。一体誰が片付けているんだろう。私の探求が始まりました。
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