松沢呉一のビバノン・ライフ

ダン・パークの表現-朝日新聞を添削する 2-(松沢呉一) -2,118文字-

差別か風刺か-朝日新聞を添削する 1」の続きです。

 

 

「差別か風刺か」は各国で議論になっている

 

vivanon_sentence前回確認したように、Facebookが削除しなかった理由を推測して、朝日新聞が「差別か風刺か」を論じることは「両論併記」と批判されるべきではない。Facebookは現に削除しなかったのですから、その論の立て方はおかしくないのです。記事全体のタイトルにしたのが不適切。

実際に、このような議論はヘイトスピーチ規制法が存在する国々でも起きていることです。よく「Facebookでは女の乳首が出ているだけですぐに削除されるのに、差別表現はどうして放置されているのか」と指摘されていますが、まったく同じことが海外でも指摘されています。ヘイトスピーチ規制法があっても、Facebookの姿勢は変わらないのです。

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「乳首かどうか」「性器かどうか」の判断は比較的容易。稀にはあわびの写真を女性器と間違って削除するようなミス、チョコバナナの写真を男性器と間違って削除するようなミスがあるかもしれないとして。

しかし、「差別表現かどうか」のボーダー上の判断は難しい。ムチャクチャ難しい。

ヘイトスピーチ規制法を制定したところで、この問題は引続き起きるのだし、法律はFacebookの判断に影響を与えていないってことを確認したい。

※写真のチョコバナナはとりわけチンコに間違えやすいでしょう。これは祭りで販売されていたもの。チンコを売っているのかと思いました。狙ったのかな。

 

 

ダン・パークの表現でさえ削除されない現実

 

vivanon_sentenceちょっと前にFacebookでも取り上げましたが、スウェーデンにダン・パークというストリート・アーティストがいます。海外の記事をチェックしている時にたまたまデンマークの記事で見つけただけで、そう大きな話題になっているわけではないようですが、本国スウェーデンでは議論が起きています。

スウェーデン語のWikipediaによると、昨年、展覧会がヘイトスピーチで摘発されて、第一審で禁固6ヶ月の判決と作品の破棄を命じられ、控訴審では禁固5ヶ月の判決を受けています。 展覧会の初日に摘発されていることから、おそらくそれまでに路上で表現していたものが目をつけられていたのでしょう。警察としては現行犯じゃなければ捕まえにくかったのではないかと推測します。

本人の主張としては、PC的表現規制を素材にしているアートということのようです。ハーケンクロイツを使ったりもしているのですが、ナチスを礼賛するためではなく、ハーケンクロイツを使うだけで処罰されることを批判するために使っているという主張なのかと思われます。

しかし、どうやらスウェーデンで勢いづくただの排外主義者、ただのレイシストだと思われます。だから警察も踏み切ったのでしょう。

この人物が難民に対しても、Facebookでこんな表現を公開。

 

スクリーンショット 2015-11-04 17.43.11

 

オリジナルは以下。

スクリーンショット 2015-11-04 17.43.54

ひどいわな。

 

 

これでもダン・パークは捕まらない

 

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以下もダン・パークによるもののようです。

 

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