台湾の提灯-台北報告 雑談編1(松沢呉一) -2,414文字-
台湾での6日間
台北市で活動するセックスワーカーのサポート団体であるCOSWAS(Collective Of Sex Workers And Supporters)によって開かれたワークショップに参加してきました。
COSWASは1990年代後半、公娼廃止の動きに対抗する公娼たちの抵抗運動を契機に生まれた団体です。それに呼応するように日本でもUNIDOSが登場し、それが母体になってSWASHが活動を開始。
今回はCOSWASが呼びかけ、台湾、中国、韓国、日本からセックスワーカー、サポーターが集まって、各国の現状報告と、「都市の再開発と浄化」といったテーマで報告と討論が行われました。
日本にはSWASHに招待が来て、そこから私にも声がかかった次第。
私に求められた役割はそこそこ果たせたのではないかと思いますが、こっちが提供できたものより受け取ったものの方が数段大きい。「楽しかった」という思いとともに、大きな宿題をもらってきて、頭を抱えているところでもあります。
このワークショップについてはCOSWASやSWASHの方から報告が出ると思いますし、私は私で報告したいことがいっぱいあるのですが、本筋についてはそう簡単にはまとめられないので、本筋とは関係のない台湾の話を先にまとめておきます。
※写真はCOSWASとは関係がなく、朝散歩をしていたら通りかかった色が黒くて背の高い人。祭りに出かけるところだったみたい。
台湾の提灯と灯籠
あんなに近いのに、台湾はこれが初めてです。あんなに近い韓国も今年が初めて。見るもの、聞くもの、全部が楽しい。
私は提灯ライターなので、台北に着いて最初に撮った写真は提灯でした。シャッターが閉まってますが、これは寺です。台湾ではよくビルの1階に小さな寺があります。寺といっても、こういうちんまりした寺は、日本で言えば稲荷さんや地蔵さんみたいな存在なのかな。
上に並んでいる提灯は、日本でも居酒屋などで見られる「にぎやかし」と言われる使用法です。
「にぎやかし」は私が言っているだけの呼称であり、提灯業界では連灯とかって呼ぶのでありましょうか。提灯ライターなのに知らん。
今度提灯屋で聞いておきますが、提灯は熊本や岐阜にそこそこ大きいメーカーがありながらも、小規模な家内制手工業で続いてきた業界のため、名称の統一がなされていなかったりします。そこに私の付け入るスキがあって、勝手な名称を使っているわけです。
台湾でも日本と同じく「にぎやかし」は丸提灯ということになってます。ここに限らず、台湾の寺では丸提灯の「にぎやかし」はよく見られます。
「にぎやかし」の下にふたつ並んでいるのは提灯ではなく、灯籠または行灯です。中国では灯籠と呼びますので、以下、灯籠で統一。
提灯の定義は「畳めること」であり、これは骨が縦に入っていて、畳めませんので、灯籠と呼ぶのが正しい。浅草寺のような大きな提灯も、紙では支えられず、縦の骨か入っていて、縮められるだけで畳めませんので、あれも厳密には灯籠です。と言うと怒られるので、縮められるので提灯ということでいいかと。
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