松沢呉一のビバノン・ライフ

露骨(explicit)なセックスフォビア-ACT UP 6-(松沢呉一) -2,327文字-

なぜACT UPは表現規制に反対するのか-ACT UP 5」の続きです。

 

 

セックスフォビアはエイズ対策の敵

 

vivanon_sentence明日、私は川口市であるクルド料理教室に行きますけど、大阪のEXPLOSIONで面白そうなイベントがあるらしいじゃないですか。

 

12010_930689540318006_34993303524815514_n

 

このバナーで23時スタートになっているのは、ACT UP NIGHTのこと。この日は入れ替えの2部制で、20時から「怒りを力に—UNITED IN ANGER」の上映とトークがあります。

詳しくはこちら

昨今、反レイシズム運動内セックスフォビア・チームがデカいツラしてやがるので、私らエロ・チームは危機感を強めてます。

そこで、今回の上映会では、「セックスリベレーションの波を受けて1970年代から80年代にかけてサンフランシスコやロス、ニューヨークでのゲイたちはどんだけセックスを謳歌していたのか」「エイズの登場によって抑圧的になるゲイ内部の動きに対してACT UPはどういう姿勢を貫いたのか」「なぜ彼らは同性婚に批判的なのか」「なぜポルノを含めた表現規制に反対なのか」「なぜヘイトスピーチ規制法に反対しているのか」をより丁寧に解説した方がいいとトーク出演者に伝えてあります。

ホモフォビアはHIV対策の敵セックスフォビアはHIV対策の敵。当たり前のことで、自分が同性愛者であることを語れない社会、自分がセックスワーカーであることを語れない社会、性行為について語れない社会、学校でコンドームを配布することもできない社会では対策は困難になります。

一部も二部も観ればいいのだけれど、早寝の方は映画とトークだけでもどうぞ。一部だけなら800円。安い。

 

 

「露骨な」セックスフォビアの台頭

 

vivanon_sentenceちょうどいい題材があります。

一昨日、Facebookでこんなツイートをシェアする投稿が流れてきました。

 

スクリーンショット(2016-01-15 1.02.13)

 

先行して問題となった漢字問題集にからめて、「こんなもんもあったよ」という程度の内容であり、これを本気になって問題視する人間はどうかしています。しかし、そういうどうかしている人間が現にいるのです。私の周りにもいました。気味が悪い。

explicitには性的な表現物に対して使われる時には「露骨な」という意味があるわけで、それを教える用例です。そのあとに「セックスシーン」という言葉が来るのはいたって自然。

しかし、これを性的表現だとし、受験生に教えてはならないと考える人間がいるのです。「小学生向けのフィルタリングでも導入して、こういう情報を見ないようにせよ」と勧めた上で、露骨な敵であるそいつとは「友達」を切りました。

日本においてexplicitという言葉をもっともよく見るのは輸入盤のCDジャケットでしょう。ペアレンタル・アドヴァイザリーの表示です。最近はCDを買わないですが、若い頃買うレコードやCDには軒並みこの表示がついていました。

 

parental-advisory_custom-d61ea6192ebc478d3a7ff147dbbe3e884ebcb5ac-s600-c85

 

 

next_vivanon

(残り 1237文字/全文: 2480文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ