魅惑の夜市-台北報告 雑談編 6(松沢呉一) -2,051文字-
「吸い殻と野良犬-台北報告 雑談編 5」の続きです。
魅惑のスーパー
私はスーパーライターでもありますので、国内でも知らないスーパーを見かけると、とりあえず入る癖があります。夏場にヘビ探しをしている時はスーパーで涼みます。コンビニでもいいですけど、商品が豊富で、生鮮食品が充実したスーパーが好きです。
買い物をするつもりがなくても、「へえ、こんな魚が売られているのか」「このキノコはなんだろ」と図鑑を見るような楽しみもありますし、「このキウイはアメリカからか。こっちは群馬」「お、遂に栃木の農協が満を持して世に送り出してイチゴ、スカイベリーがシェアを伸ばしているな」と、産地や品種を見るのも楽しい。
地方に行くと、見たことのないパンのメーカーや牛乳のブランドもありますし、大手のメーカーも地域限定商品を出しているのを見られます。
こういう場合の評価基準は「使いやすいかどうか」「安いかどうか」「従業員の態度」などは二の次で、「見て楽しいかどうか」が最重要。スーパーは買い物をするところであると同時に見るところです。素晴らしい娯楽施設です。
なんでこうも私はスーパーが好きなのかと考えると、物が溢れている状態が好きなのです。高度成長期に育った人間の宿命です。
私としては地元密着のインディペンデント系スーパーを応援したい。大手系列のスーパーは、商店会にも加盟せず、地元を活性化させる気などない。あれでは金をすくいあげるだけですよ。と常々思っているんですけど、巨大スーパーに行くとトランス状態になって、「大資本のスーパーはいいなあ」と思ってしまうことを止められません。
上の写真は台北のスーパーです。しかし、国内ほどは楽しくない。前提になる知識がないので、産地がわかっても、意味を読み込めない。
それと、日本に比べて、空間の使い方に余裕がありすぎて、ギッシリ感が乏しい。ドンキホーテについ入ってしまうのは通路が狭く、雑然とした感じに満ちてるからだと思います。
魅惑の市場
その雑然たる雰囲気を台湾で味わえるのは市場です。
泊まっていたホテルは繊維街の近くにあります。布屋がいっぱいあります。東京で言えば日暮里で、実際、下町っぽいところです。
空港からタクシーで市内に向かっている時に、「女装」という看板が見えて、「台湾にもエリザベスがあるのか。どんだけ台北は女装が盛んなんだよ」と思っていたら、「男装」という看板も見えて、「どんだけ宝塚だよ」と。
「女装」は婦人服、「男装」は紳士服のことだったんですけど、ホテルの近くの繊維街にもエリザベスや宝塚がたくさんありました。
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