憲法改正を先取りする自民党とリベラル/今こそ個人主義の確立を 2 (松沢呉一) -2,314文字-
「憲法改正の優先順位/今こそ個人主義の確立を 1」の続きです。
自民党にとっての家族
憲法改正を先取りするようなことを次々と自民党はやってきます。
以下の文書には、一歩一歩自民党が望む社会を実現しようとする様がよーく出ていようかと思います。
自民、増田氏以外の応援処分
東京都知事選の告示まで2日に迫った12日、自民党東京都連は11日、前岩手県知事の増田寛也氏(64)の推薦を決めると同時に、所属する国会議員や地方議員に対し、党が推薦していない候補者を応援した場合に除名などの処分を科すとする文書を配布した。
自民党衆院議員の小池百合子元防衛相(63)が出馬表明しており、組織を引き締め、分裂選挙の影響を可能な限り避ける狙いがあるとみられる。
文書は「都知事選における党紀の保持について」と題し、都連会長の石原伸晃経済再生担当相や都連幹事長の内田茂都議らの連名で出された。党公認・推薦候補者以外の者を応援してはならない▽各級議員(親族含む)が非推薦の候補を応援した場合は除名等処分の対象となる−−などとしている。
小池氏の選挙区である東京10区(練馬区の一部と豊島区)の自民党関係者からは「こんな文書は初めて見た」という驚きや、「支援するなというなら小池さんを除名にするのが筋では」との声も上がる。
(略)
憲法改正草案にある「家族は、互いに助け合わなければならない」という文言に照らせば、政治家の家族は当然にこれに協力するってことなのでしょう。政治的信条が夫婦でずれてしまうこと、親子でずれてしまうこともあるでしょうが、そんな個人の意思は認める必要はないのだと言っています。
この文書の「応援」がどこまでを含むのかの問題はありますが、実弟の石原良純が鳥越俊太郎出馬に理解を示した以上、石原伸晃は除名決定でしょう(笑)。
頼りないとは言え、石原良純も立派な独立した個人であります。その独立した個人が自分の考えを述べるのは当たり前。しかし、自民党はそうは考えない。個人の考えよりも、親族の助け合いが優先されるべきなのであります!!
石原良純は石原慎太郎の考えを肯定するがゆえに鳥越俊太郎の発言を肯定したと言えますから、父親思いのよき息子としての発言だったかもしれないですが、このタイミングで鳥越俊太郎に理解を示すなんてことは親族としてはあってはならないのです!! 石原一族はたるんでますから、断固除名ってことで。
個人の意思を平然と踏みにじる人々
憲法が改正されたら、自民党議員、党員のみならず、ありとあらゆるところで、家族によって個人の意思、選択、行動が制限されることになるでしょう。
このような社会を先取りしているのは、なにも自民党だけではありません。広くこの社会では家族というつながりが個人を縛っています。家族が不祥事をやらかすと、妻や夫、親、子どもまでが責任を問われて、謝罪をしなければならない。
個人の意思より、家族の事情を重んじる人々が、リベラル層にも多数います。そのことはセックスワークに関する議論を見ていただければ一目瞭然。
リベラルやらフェミニズムやらといった領域からなされるセックスワーク否定論では、家族や社会を持ちだして、個人の意思を否定する論がデフォルトになっています。
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