酒は敵ではない—下戸による酒飲み擁護 4- (松沢呉一) -2,777文字-
「ハラスメントと言い得るのは一部だけ-下戸による酒飲み擁護 3」の続きです。
意思表示できないことをハラスメントと呼ぶな
どんだけ自分が大物だと思っているのか知らんですけど、自分ごときが酒を飲まないからと言って場の空気をしらけさせると思うのは誇大妄想であり、自意識過剰です。「ほら、見ろ、おまえのせいで場がしらけたろ」と突っ込むような冗談はあるとしても。
事実、私が酒を飲まなくても、酔っぱらいたちはかまわず酒飲んで騒いでケツ出したり、ゲロ吐いたり、殴りあったりしています。あるいは、ケツにタバスコを突っ込んだり、陰毛を焼いたりしています。これは特殊グループですけど。
あるいは、チンコの皮の中に唐揚げを入れたりしています。これは芸人の元氣安です。彼のチンコの皮は長い上に伸びるのです。
正確に表現しなきゃダメです。「場の空気をしらけさせる」のがイヤなのでなくて、気が弱くて断れないだけでしょうに。すべてとは言わないですけど、大半はこれだと思います。意思表示さえできない人々。意思表示できないことを他人のせいにする人々。
※誰とは言いませんが、一気飲みの末に燃え尽きたあしたのジョーのようになっている立派な大人
アルコール強制社会なんてものは存在しない
私の周りでも大の大人が一気飲みをやっていたりするのですけど、参加しない人たちに強要することはありません。
ほぼ毎年、花見や忘年会に行きますが、私は酒を飲みません。ほとんど毎週のように居酒屋やバーなどの飲み屋に行きますし、私の呼びかけで始まった飲み会を毎月やっていますが、私は酒を飲みません。
たまに、変わった酒があると一口飲むことがある程度。あるいは烏龍茶と間違って烏龍割を飲んで酔っ払うことがある程度。
私が飲まないことは皆が知っているので、勧められることもありません。初対面の人であればビールをグラスに注ごうとしたりしますが、たいていその前に私は烏龍茶を頼んでます。
花見やバーベキューのように、飲み物、食べ物を持ち寄る場合は、主催がソフトドリンクも用意するってもんですが、私は自分が飲む分のソフトドリンクを買っていきます。何種類かをペットボトルや紙パックで買っていきますが、たいていきれいになくなります。
酒飲みも酔ってきてソフトドリンクに切り替える人がいるためでもあるのですけど、ソフトドリンクの方がいいのに用意していかない人が多いってことだったりもします。酒の会だからと一升瓶を抱えて行ったりするわけですが、飲みたくない人は、自分で飲む分をちゃんと持ってけ。
その私の体験からすると、「私は飲みません」と意思表示をすることができない場は限定されるはず。その限定された場の問題はそれぞれに解消をすればよく、全体の問題かのように扱うことでフレームアップをすべきではないのです。
気の弱い自分の改善が、もっとも確実な解消法にもかかわらず。気の弱い自分をそのままにして、黙っていても酒を飲まなくていい社会を求める。「決してそんな社会が来ませんように」と私は心から願います。
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