松沢呉一のビバノン・ライフ

ポルノはライブチャットに移行している-毛から世界を見る 21- (松沢呉一) -3,056文字-

日本人は定価が好きでチップが苦手-毛から世界を見る 20」の続きです。

 

 

日本の特性がライブチャットにも表れる

 

vivanon_sentence「日本人は定価が好きでチップは苦手」に書いたように、複数の人が参加する場で一人でチップを出すことができにくい日本社会においては、露骨に「お金をちょうだい」とやることもまた難しい。

両者とも遠慮しあってしまう日本においては、そこにいる10人が全員一律で100円ずつ出し合って、計1000円にして、おっぱいを見る方式が向いているのです。

その徴収をするのは運営会社であります。運営会社は徴収した金から利益を上げなければならず、仮に売上の1割を出演者に払うとすると、おっぱい代1000円のために、計1万円の売上が必要になり、結局、1人1000円ずつ払うことになります。

誰か1人が1000円払えば残りの9人は金を払わずに済んだはずなのですが、私ら日本人はそれができないため、こういう方式になります。結果、損をしても一律の徴収を選択してしまうのです。

※無料公開パート用に、差し障りのないSSを出してみました。中継者はトイレにでも行っているところでしょう。このSSにもCAM4らしさがよく出ています。その「らしさ」は最後にまとめて書きます。

 

日本の特性を追及する結果、ガラパゴス化する

 

vivanon_sentence日本では、性的なものがすべて産業として成立していくところに特徴があるとオランダのテレビクルーが言っていたことにも通じます。

あっちでは同好の人たちが集まって、SMのサークルを作っています。日本も最初はサークルという形から始まったと思われ、今も存在しているのですが、クラブという形が発展していきます。SMは金を出して楽しむものになり、ここでビジネスが成立する。

売春という産業においても、世界の標準は個人営業です。飾り窓も、物件の所有者が場所を提供して、売春者はその場所代を支払うだけで、個人営業です。

日本では一部地域で、飾り窓と同じ「場所貸し」という方法が行われていますし、フリーの援交女子もいますけど、雇用に近い業態が主流になります。管理売春というものです。

客は交渉を経ずに定価を払う方が楽です。一人よりも、組織になっている方が安心という心理も働きます。

対して、働く側は雇われた方が安全。両者の事情から管理売春が主流になるのが日本の特性です。搾取だなんだと非難されますが、これは国民性により選択されたものです。

拙著『闇の女たち』でも逮捕される話があちこちに出てきたように、直接客引きをすると売防法で逮捕されてしまう事情もあるのですが、 もともと個人が独立して営業することを好まないのだと思います。一人では不安。一人で責任を負いたくない。フリーよりも組織に属したいのは男も同様。その慣習が壊れたのが焼け跡のあの時代だったわけです。

ライブチャットもまさに同じような業態の違いになって表れています。

日本では日本に向いたやり方がここでも定着していてるのですけど、この方式は海外との競争の場では勝てません。ガラパゴスになるわけです。

※この人はフランス人だったと思いますが、隣の家から見えてしまいます。もちろん、ここでは全裸になったりせず、このあと部屋の中に移動してから裸になってましたが。

 

 

既存のポルノを駆逐するライブチャット

 

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もうじきライブチャットを取り上げた記事が掲載された「サイゾー」が出ますが、私のコメント以外のところで、ゲラを大変面白く読みました。

もっとも私が注目したのは、米国ではライブチャットに人と金が流れてしまって、既存のポルノが危機に瀕しているという話です。

そのため、ポルノ女優や男優たちも、ライブチャットに出演して金を稼ぐようになっています。CAM4でも、スーパーショーという枠に出ているのがプロです。

※エロ画像が出てきますので、18歳以上の方のみ先にお進みください。

 

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