松沢呉一のビバノン・ライフ

おっぱい募金を批判した人たちはキッシング・ブースに文句をつけるのか?-(松沢呉一) -3,183文字-

キッシング・ブースはカーニバルの定番

 

vivanon_sentence昨年、おっぱい募金の騒動があってから間もない頃。その話をしている場にいた人が「たしかアメリカだったと思うけど、キス募金というのがあったはず」と言い出しました。

しかし、雑誌かネットで十年以上前に見た話だそうで、記憶がはっきりせず、その場にいる他の人たちは誰も知りませんでした。あとでkiss for fund raisingとかなんとかで検索してもやっぱりよくわかりませんでした。

先週、新宿三丁目のゲイバー「タックスノット」で、中村キース・ヘリング美術館のディレクターであるHiraku君におっぱい募金のことを説明していたら、「キッシング・ブースみたいなものですね」と言います。

彼は中学校から二十年近くニューヨークで暮らしていて、あっちの文化に詳しい。

「アメリカではカーニバルの定番です。50セントとか1ドルとかを寄付すると女の子がキスをしてくれる。普通は頬にするだけですけど、2ドル出すと口にキスしてくれるとか、いろんな方法があります。たまに批判されることはありますが、それ自体ではなくて、ミスなんとかハイスクールに選ばれた女生徒がおっぱいが見えそうな格好をしてキスをしたり、子どもがキスをすることに対してですね」

私はまったく知らなかったのですが、kissing boothで検索したら、いっぱい記事も写真も出てきましたし、英語版Wikipediaにも出てました。犬や猫がキスをしてくれたり、男がキスをしてくれたり、といったヴァージョンもさまざまあります。

Wikipediaによると、問題とされるのは、病気の感染だそうです。風邪はもちろん、マウストゥマウスだとヘルペスが感染したりしましょうね。当然、一対一でも感染しますが、この場合は一度に多数の人に感染する可能性が問題になりそう。動物であっても同じです。

※Hiraku君は、TRPのフリーペーパー「BEYOND」の2号の表紙とインタビューに登場しています。リンク先で彼のインタビューを読めます。のほほんとしつつも、つねに前向きな生き方、考え方をしていて、彼に学べることは多そうです。なおかつ、いい男です。なお、この号には私のインタビューも出ていて、TRPの若手スタッフには受けがいいとのこと。こちらはネットでは公開されていませんが、過去の話を除けば「アライとサポーター」シリーズに書いたことと趣旨は同じです。

 

 

キッシング・ブースは広く定着

 

vivanon_sentenceKISSING boothという口紅の商品名もあります。

 

こんなショートムービーもあるくらいに定番です。

 

 

この動画は学園祭という設定かとも思えますが、以下のように、現実の学園祭でもやられています。

 

 

これはニュージーランドの学校のサイトに出ていた写真です。生徒ではなく、職員かな。10ドルくらいすぐ出します。

 

 

目的もさまざまなキッシングブース

 

vivanon_sentenceカーニバルや学園祭では、資金集めであるとともに、それ自体が人気の出し物であり、Hiraku君によると、事前に誰がキス係をするのかを告知して話題作りをするらしい。その時にしばしば半乳、半ケツの格好をした写真を出すため、18歳未満であることが問題視されることがあるわけです。

それが18歳未満だとどうなのか、高校生だとどうなんかって問題になるのはわかります。しかし、18歳以上だったら、感染リスクを踏まえた上でやるのはいいでしょう。また、学校等では、男女ともにゲスト、ホストになれる方がより好ましく、事実、そうしているらしき学校もあります。

また、カーニバルや学園祭以外でも、金集めやキャンペーンのためのキッシング・ブースが行われており、ミュージシャンのマーニー・スターンは、交通違反の罰金を払うために自らキッシング・ブースを実施

 

 

ほっぺなら3ドル。口なら10ドル、フレンチキスなら100ドル。キスで100ドルは高いですけど、ファンにはたまらんですわね。彼女は勇敢だと讃えられています。

マーニー・スターンという名前は知らなかったのですが、下品発言連発のミュージシャンのよう。

この人のギターは面白い。どの曲でもタッピングを多用。

 

 

 

自分たちの活動資金を得るためにBBG48だったら、キッシングブースくらいすぐにやりそうです。

 

以下はキスでHIVは感染しないとのメッセージを伝えるために路上に設置されたキッシング・ブース。バケツもあるので、募金も集めているのでしょう。

 

 

以下の動画と同じメッセージです。

 

 

これはオリジナルのFree Hugs Campaign動画のリメイクですが、最後のメッセージで毎度泣きます。

 

さらに皮膚癌治療のためのトップレス・キッシングブースも。

 

 

2006年の「タンパ・ベイ・タイムス」の記事です。ヌード・カラオケ・セッションもありですぜ。

 

 

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