松沢呉一のビバノン・ライフ

前立腺を遠隔操作—体内宇宙を旅するクルー-[ビバノン循環湯 147] (松沢呉一) -4,519文字-

自分が書いたSM関連の原稿をたぐっていたら、こんになんが出てきました。さしてSMっぽくはなく、夢あり、冒険あり、ロマンスありのスペースオペラっぽいです。言い過ぎか。40代までは小娘のダチがいっぱいいたのですが、向こうも落ち着いてきたり、連絡がとれなくなったりしているうちに、こっちは50代になり、さすがに小娘と新たに知り合っても、ダチみたいな関係にはならなくなってきて、こういうバカ話が対等にできる相手がいなくなってきたのが寂しくもあります。

この原稿は10年くらい前に書いたまま、出す場所がなく、メルマガの読者限定でevernoteで初公開したものかと思います。

 

 

「アナルは負けず嫌い」の多大な影響

 

vivanon_sentence「松沢さん、責任をとってもらえないですか」

ダチっ子から、いきなり電話口でこんなことを言われて面食らった。

「えー、オレ、なんか悪いことしたっけ? 上履きに画鋲を入れたのはオレじゃないよ」

「何言ってんですか」

「たまたま今考えていたんだよ。小学生はひどいことをするなと思ってさ。オレもよく椅子に置いたし、置かれたけど、画鋲を足やケツに刺すって犯罪だろ。病原菌が入って死んだ生徒だっているんじゃないかな」

「ホント?」

「知らないけど、歴史上、何人かはいると思う」

「で、画鋲のことじゃなくてですね、前に教えたことがあったかもしれないけど、私の彼氏はメタラーなんですよ。BURRN!の松沢さんの連載が大好きだったんだって」

BURRN!の連載「アナルは負けず嫌い」は。『ぐろぐろ』として本にまとまっているのに、どういうもんだか、今なお「BURRN!の連載が面白かった」と言う人が多いのが納得できない。そんなに面白かったんだったら、本買えよ。

※BURRN!最新号

 

 

前立腺探し

 

vivanon_sentence「それで、彼は、お尻の可能性を試したくなって、指を入れて欲しいって言うんですよ」

「この世知辛い世相の中では珍しく心温まるいい話だね」

内心、アホだなとも思う私である。

「それを私に頼むのってどうかと思いますよ」

「よその女に頼むよりいいんじゃないかな」

「それもそうですけど」

「で、入れたんか」

「入れましたよ。でも、前立腺がどこにあるのかわからなかったんですよ。そしたら、彼氏が“気持よくなりそうな気がするので、もっと詳しく松沢さんに聞いてくれ”というので電話しました」

「仰向けか、四つん這いか、どっちでやった?」

「どっちもしました」

「四つん這いだと指の腹を下にして、中指をまっすぐ入れて、第一関節を折り曲げたちょうど下あたり」

「中指じゃなきゃいけないんですか」

「人差し指でもいいけど、女子は指が短いのがいるので、人差し指だとちょっと足りないかも」

「あー、それか。人差し指でしてました」

「30センチくらいあるんだったら、人差し指でもいいけど」

「中指だってそんなにないですよ」

「今度、指を入れる時に電話くれよ。リアルタイムに指導するよ」

「あ、それいいですね。彼氏に聞いてみます。ちょっと待ってください」

おい、彼氏がいる横で電話してきたのか。何か向こうで話している。

「…だってさ。どうする…?」

「オレは…だよ」

話がついたみたい。

「あとでまた電話する」

彼氏に怒られたのかな。

※BURRRNという日本のバンドがあるんですね。Rがひとつ多い。YouTubeで聴けます。ソニック・ユースみたいなバンドなので、雑誌のBURRN!には関係なさそう。

 

 

体内宇宙旅行

 

vivanon_sentence1時間後、また電話があった。

「準備できました」

「今からするんか。話が急だな」

「ダメでしたか」

「いや、いいけど。今、風呂場か」

「そうです」

声がこもっているのだ。

「アハハハ、彼氏が仰向けになって、カモンと言ってます」

「お尻の中の掃除はした?」

「彼氏は前からウォシュレットが好きで、それが昂じて、シャワーのノズルを外してお尻に入れていたんだって。今日ももう洗いました」

離れたところから「言うなよ」と彼氏の声が聞こえる。

「頭に来ましたよ。それで頭を洗ったりしたんですよ。今は彼氏のうちなんだけど、ここでは私は絶対にシャワーは使わないことにします」

「大丈夫だよ、シャワーは汚いものを洗い流す道具なんだから、使っているうちにきれいになるって」

「彼氏と同じことを言うのはやめてください」

 

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