女子大生ヌードで退学寸前に至った彼女のとった対策—学生風俗嬢たちのさまざま- [ビバノン循環湯 145] (松沢呉一) -5,609文字-
風俗嬢の過去がバレて職を失ったり、学校にいられなくなったりする話をこのところ書いてましたが、そういうことが起きないように、風俗系の記事をよく出している雑誌やライターは配慮をします。しかし、うっかりがあるのです。そんなトラブルの実例をご紹介します。この原稿はどこに出したか不明。もしかすっと、どこの誰かわからなくなるまで寝かせたまま未発表になったものかもしれない。なお、こういう類いの原稿は『風俗ゼミナール』シリーズとして単行本になってますし、うち2冊が文庫になってますので、もっと読みたい方はそちらをご購入ください。文庫は一部コンビニでも取り扱い中。
体育大学学生の風俗嬢
「女子大生風俗嬢」と言われても、それだけでは魅力を感じないが、学校や専攻によっては聞いたことがない話が聞けると期待してしまう。どうせ大学や専門学校に行くなら、家政科や文学部じゃなくて、珍しい話ができる学校や学部に進学して欲しい。
意外かもしれないが、体育大学の学生でも性風俗でバイトをしているのがいる。
これは卒業生だったが、体育大学学生のセックスについての話は抜群に面白かった。セックスも体力なんだなと感心したし、スポーツはいろんな相手といろんな組み合わせで対戦することが大事だと納得した。一対一あり、二対二あり、一対二あり。一対二のスポーツはないか。
現役学生で言うと、歌舞伎町の性感ヘルスで会った獣医学部の学生さんの話も面白かった。彼女とはBSEを筆頭に動物の病気の話で盛り上がった。チンコとマンコを出しながら、病気の話で盛り上がるのもナニだが。
追記:現役の体育大学学生にもその後会っている。彼女に聞いたレズビアンの話も面白かった。どっかに書き残したものがあるはず。
音大・美大の風俗嬢
音楽関係、美術関係の現役学生、または卒業した風俗嬢の話もたいてい面白い。
今もどこかの店で働いているハズだが、歌舞伎町のヘルス「リッチドール」に以前いたつぐみちゃんは、音大でハープを専攻していた。ハープを専攻する学生はそれほど多くないだろうから、すぐに身元がバレてしまうが、彼女は全然そのことを隠しておらず、堂々顔出しもしていた。彼女の学校はうるさくないみたい。
また、すでに卒業したが、新大久保のイメクラで会った東京芸大の現役学生とのやりとりもよく覚えている。
彼女は音楽が専攻。
「じゃあ、坂本龍一の後輩か」
「そうですけど、あの人は作曲科ですよね。私はピアノです」
「ストラディバリ」
「それはバイオリン」
全然話がかみ合ってない。知っている名前や言葉を並べればいいってもんじゃない。
でも、エロの話になったら俄然かみ合って、絶妙なハーモニーを奏で始めた。
「芸大の子たちってエッチなのが多いと思うんですよ」
芸大でも日芸でも武蔵美でも多摩美でも女子美でも芸術関係の学生さんはたいがいスケベなもんである。風俗嬢にして物書きでもある南智子も女子美出身。女子美の学生さんには風俗店でよく会う。水商売にもよくいる。
武蔵野音大でも東京音大でも桐朋学園でも、音楽系の学生さんもたいがいスケベである。風俗嬢に限らず、私の女友だちにはなぜか音楽関係の学校を出たのが多いんだが、全員スケベだ。あるSMクラブで時々働いているM女も教育大学を出て、今はピアノの講師をしている。
ちゅうか、文学部でも経済学部でもでも、どこの大学のどの学部を出てようと、あるいは高卒でも高校中退でも、私の女友だちはたいがいスケベなんだが、特に芸術関係はその傾向が強いと私も思う。
目指せ、淡谷のり子
いやしくも芸術を志す者が、社会の因習にとらわれていいはずがなく、奔放であるのは昔からの伝統である。淡谷のり子先生の若き日を想え。
若き日の淡谷先生の奔放ぶりを教えたら、その芸大生風俗嬢はこう言った。
「音楽をやる人はそういうところがあると思うんですよ。私を含めて、本気で音楽で食べていこうと思うんだったら、結婚は二の次になりますよね。でも、セックスはしたいから、先々のことを考えず、わりと気楽にエッチしちゃうかもしれない」
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