『J番記者による大忘年会2017』~タグ祭り!~12/18渋谷で開催

タグマ!メディアを、携帯する。新世代のメディア、タグマ!

松沢呉一のビバノン・ライフ

女子高生座談会—女言葉の消滅 1-[ビバノン循環湯 179] (松沢呉一) -3,306文字-

2016年12月22日18時38分 カテゴリ:ビバノン循環湯ことば女言葉東京都渋谷区


プッシー・ライオットの新譜『Straight Outta Vagina』と女言葉の不自然さ」に「今から四半世紀前、週刊誌で、女言葉はすでに死語であることを調査した記事を作ったことがあります」と書きましたが、その原稿が出てきました。正確には、「『週刊SPA!』の特集記事で原稿を書き、その時の取材内容が面白かったため、改めて自分の文章として書き直したもの」です。掲載されたものよりうんと詳細です。当時、「ショートカット」というコピーのミニコミがあり、「ショートカット松沢呉一」という別冊が出ていました。私の原稿しか出ていないミニコミ。そこに出したものです。

SPA!の特集は「凶暴化するオンナたち」というもので、私としては「女言葉が消えている」ということを知りたくてこの取材をしたのですが、特集テーマに引っ張られていて、「若い女子の言葉が汚くなっている」という表現になっているところがあります。私はそれを悪いこととはちいとも思ってません。男とまったく同じになってもいい。そこで性差を強調したい人はそうするもよし。

一九九四年のことですから、今から二十二年も前のことです。この頃から旧来の女言葉は消えて、ギャル語など、新たな女言葉が出てきたようにも思われ、この取材の中でもその始まりとも言える用語が出てきています。どうせ調べている人がいるでしょうから、詳しくはそちらに譲りますが、これも時代の資料ってことで。

写真はつい先日、渋谷と原宿で撮ったもので、本文には関係ありません。

 

 

女子高生座談会を実施

 

vivanon_sentence若い女子と話していると、彼女らの言葉遣いが明らかに変質してきていることを実感する。そこで、何がどう変わったのかを調べてみることにした。

まずは、生の女子高生言葉を探るため、ふだん渋谷で遊んでいる都内の有名私立女子高の三名に集まってもらい、喫茶店でダベッてもらった。「渋谷で遊んでいる」「有名私立」というところに偏りがあるかもしれないが、「今時の普通の女子高生」と言ってかまわないかと思う。

こちらの意を汲んで必要以上に汚い言葉を話すことを避けるため、途中までは本当のテーマ「言葉遣いの変化」を一切隠している。

最初は「好きなタレント、嫌いなタレント」をテーマに話してもらった。

A:好きなのは木村拓哉だよね。

B:だよね。だけど性格悪そう。

C:真田広之がいい感じ。嫌いなのは森脇(健児)。おもしろくないし、カッコもよくないのにさ。あいつ、なんの芸があんだよ。

B:松村(邦洋)も、すっげえ調子に乗ってる。

A:(ケーキを一口食べて思わず)うーっめっ!

B:女は森口博子がヤだね。あいつ、しゃべってるだけでウザい。

A:チョーウザいよ。あと安達祐美。ちっちゃいのに大人ぶってさ。稼いでんじゃねえよ。

B:光GENJIはそろそろやめた方がいいよ。いつまでやってんだよ。

C:バカじゃないのって感じ。

これは会話のほんの一部だが、「あいつ」「あんだよ」「ねえよ」「やってんだよ」といったように、かつてなら、普通の女子高生が口にしなかったであろう言葉の連発である。

次のテーマは「学校の先生について」。

B:先生は苗字を呼び捨てか、あだ名だよね。校長も呼び捨て。

A:間違えて、本人を呼び捨てにしたことあるよ。

B:ウソー。

A:ほんちゃ。

C:敬語は好きな先生には使わない。嫌いな先生にわざと使う。

いい先生こそ友だち扱いなのである。これは日々感じるところでもあって、距離を縮めたくない相手には敬語を使う。

 

 

下ネタも平気

 

vivanon_sentenceテーマは下ネタへ。

A:下品な話は全然平気。

B:男の子の前でも平気だよね。

C:初めて会った人の前では言わないけど、Aなんて学校で“ウンコしてくる”とかよく言うよね。さばけてるよ、うちの学校。気取ってウンチとかって言わないよ。あれはやっぱりウンコだよ。

B:“あんた、髪の毛、ウンコ色だよ”とか言うよね。

A:クラスで言ったりしないけど、私たち三人の間なら“マンコ”も平気だよね。“マンチョ”とか。

B:友だち同士なら“マンコ”も平気だよ。

A:アタシは“膣”だな。けっこうみんな、生理の時に“膣痛い”って言ってんじゃん。

C:“膣かいー”(痒い)とか。

B:あんた、それ、性病じゃん(笑)。でも、“チンポ”は恥ずかしい。クリトリスでもタマでも言えるけど、“チンポ”はね。せいぜい“オチンチン”だな。 “ウンコ”も“マンコ”もへっちゃら。

「ウンチは気取った言葉」「チンポは恥ずかしい」というように、下品な言葉の中にも微妙なニュアンスによる使い分けがあるのがおかしいが、ニュアンスはわかる。

 

next_vivanon

(残り 1459文字/全文: 3365文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

前の記事«
次の記事»
ぐろぐろ (ちくま文庫)


クズが世界を豊かにする─YouTubeから見るインターネット論
ポルノグラフィ防衛論 アメリカのセクハラ攻撃・ポルノ規制の危険性
デモいこ!---声をあげれば世界が変わる 街を歩けば社会が見える
「オカマ」は差別か 『週刊金曜日』の「差別表現」事件—反差別論の再構築へ〈VOL.1〉 (反差別論の再構築へ (Vol.1))
エロ街道をゆく—横丁の性科学 (ちくま文庫)

ページの先頭へ