冬の台北は熱かった—アジア初の同性婚実現間近の台湾へ 1-(松沢呉一) -2,775文字-
十二月の台北
十二月七日から十一日まで、またまた台湾に行ってました。いつものように街を歩き続けていて、いろんな発見がまたあり、出会いもありました。
とくに心が通じ合ったのはホテルの近くにある公園のリスたちです。連日、遊んでもらってましたから。お菓子をあげている人たちが多いのですが、リスの体には合わないのか、そんなに食いつかないため、私は金柑を買ってきて手懐けてました。日本で出回っている金柑と違って楕円形の金柑です。これですっかり仲良しに。
そういうさまざまはできるだけ軽く済まして、以下、台湾の同性婚をめぐる状況を中心に書いていきます。見聞きした範囲のことなので、データ部分やら法律の現状、内容等については、各自検索してください。だいたいのことは日本語でも出ていると思います。
私とツインとは怖いもの知らずにもほどがある
スケジュールを合わせたわけではなくて、たまたまなのですが、十日は世界人権デーで、この日は台北で同性婚支持のコンサートが行われ、これを私は楽しみにしてました。
今回はロフトプロジェクトの平野悠代表のおごりです。チケットの手配もホテルの予約も全部お任せです。今までと違って台北駅前の立派なホテルなのはいいのですが、ツインです。私はいびきと寝言が自慢なのを平野さんは知らなかったよう。知るはずもないですが。時々自分のいびきや寝言で目が覚めますので、平野さんにとっても目覚まし時計いらずなのが少し便利かもしれません。
台北に着いたのは夜で、近くにメシを食いに行ったのですが、私の好きなタイプの小汚い店に入ったら、平野さんは臭豆腐の臭いがダメで、席に着く前にすぐに出てしまいました。そりゃ、臭いけどさ。
私は酒を飲まないので、どうでもいいのですが、ああいう店ではビールを出してないんですね。アルコールのライセンスはどこの国でもうるさいものです。
ただし、区によるのかもしれず、萬華では出している店もありました。萬華は法律とあんまり関係がない特殊地域ですから、条例等は無視しているのかも。
夜は食べず、酒だけ飲む平野さんはそれも不満。
その上、私は歩くのが速いとブーたれます。私はジジイの手前で、平野さんは七十代の本物のジジイですから、ついて来られない。
若い頃から私は歩くのが速いと言われ続けていて、歳をとると少しは遅くなるかと思いきや、全然変わらん。このまま高速で歩き続け、最後は壁に激突して死んでいく予定なので、人に合わせる気はありません。
平野さんはコンビニでビールを買ってホテルに戻り、私はさらに歩き続けて西門まで行きました。
※日本と同様、台湾もすっかりクリスマス仕様でした。しかし、日中は気温が二十度以上あって、大変過ごしやすい。これがいきなり寒くなるのが台湾北部の特徴。
西門の星空露店広場
西門は台北駅の隣。この時は、他も回っているので、もっともっとかかっていますが、最短で徒歩十五分程度です。
西門を南下すると、故郷に帰ってきた気分に浸れる萬華です。萬華は、東京で言えば浅草や上野に当たり、そちらは造船関連や薬草の販売などで栄えた古い繁華街。西門は若者が集まる新しい街。西門は日本で言えば渋谷です。
萬華ではチラホラとしか見かけない日本から進出した店が、西門では乱立。うどん屋、ラーメン屋、居酒屋、寿司屋、ファミレス、ドラッグストアなどなど。
脇道に入ると、タトゥや身体改造の店が並びます。「西門紋身街」という通りです。
右の写真はタトゥを入れているところ。こっちの人たちはタトゥを入れている人の率がメチャ高い。日本が少なすぎるのか。ここは若い世代が多いですが、年配の人でもよく入れてます。
また、電気店やカメラ屋が集中している通りも隣接しており、たいていのものはこの街で買えます。
昼間は日本からの修学旅行生がいっぱいいます。
一時は台北の援交女子高生がここに出没していて、今もそれっぽい若い女子を見かけ、テレクラもあるのですが、萬華のようなわかりやすい街娼の姿は見ません。
金銭授受のないセックスだったら、十七歳以上は法に触れないので、「高校生をナンパしてやっちゃっても大丈夫ですよ」と地元情報を得ました。
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