松沢呉一のビバノン・ライフ

HIVの話題を避ける空気が変わりつつある—アジア初の同性婚実現間近の台湾へ 3-(松沢呉一) -3,089文字-

 「動き回る蜜蜂たち—アジア初の同性婚実現間近の台湾へ 2」の続きです。

 

 

台北地下街で中野ブロードウェイを味わう

 

vivanon_sentence三日目。同性婚支持のコンサートの前日。平野さんは高雄に行き、モダンフリークスの福田君は夜まで撮影の仕事。私は朝から北門周辺を散策。

事前情報は何もなかったのですが、台北駅から北門まで続く地下街に入ったら、ムチャクチャ面白い。

中野ブロードウェイみたいなエリアがあって、漫画本屋、フィギュア屋、ゲームショップ、コスプレ衣装屋、メイド喫茶などなど、オタク色に染まってます。この地下街は巨大で、この辺は賃料が安くて、そういった店が集まった感じなのかな。

おそらくエリア単位で組合が違ったりするのでしょうが、このエリアは宣伝用の看板やポスターが軒並みオタク仕様。右の看板も地下街自体の宣伝用ですが、「ご主人様がいらっしゃるのを歓迎します」と書かれています。

日本テイストもふんだんに演出していて、紙製の絵馬に願い事を書いて吊るすコーナーがあったり、日本式の提灯がいっぱいぶら下がっていたり。

このエリアのはずれにインドネシア料理店が集まっている一角があります。台湾とインドネシアは関係が強いらしく、インドネシア人も多く住んでいて、旅行者も多いそうです。ここで鳩を食べました。

 

 

SMゲイバー「COMMANDER D」へ

 

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北門周辺では他にも面白い場所があったのですが、省略。

暗くなってからまたも西門に行きました。コンサート前夜とあって、蜜蜂たちの数が増えて、地下鉄の出口周辺は蜜蜂だらけです。

フラッグが何本も舞う中、仕事が終わった福田君と真夜ちゃんと落ち合いました。真夜ちゃんはしばらく日本にいて、モダーンフリークス主催のイベントにも出たことがあり、私もその時に会ってます。

台湾に帰ってからは、ファイアダンスをやったり、SMサークルを主催したり、こっちのアンダーグラウンドシーンに精通しており、おばあちゃん子のため、台湾語も話せます。若い世代で台湾語を話せるのは貴重。観光地のことはよく知らないかもしれないですが、私らのようなタイプの観光客にとっての台湾ガイドとしては完璧です。

前々回の写真を見ればわかるように、西門「星空露店広場」はオープンカフェみたいな店が多くて、日本で言えば観光バーみたいな存在です。

ゲイ同士、レズビアン同士が知り合ったり、ナンパしたりするタイプのゲイバーは別に存在していて、地元の人たちも、「ゲイバー」と言った時は、こちらを指すことが多いようで、 こっちはゲイ限定だったり、レズビアン限定だったり、日によって入場に制限があったり。

コンサートの前夜は、そういったゲイバーのひとつ「COMMANDER D」に行きました。ここはSMゲイバー。ここのオーナーは、「星空露店広場」にも店を出しているそうです。

西門の端っこにあって、知らないと行けない場所の地下にあります。真夜ちゃんがいたからこその訪問であります。彼女がやっているSMサークル「皮縄愉虐邦」はこの店でイベントをやっていますから、ツーカーです。

入口では、明日のコンサート用にTシャツを売っていて、飛ぶように売れてます。写真の赤い袋はTシャツが突っ込まれたものです。日本円で千円くらいなので、ほとんど儲けなしでしょう(通常、Tシャツは日本と値段はそんなに変わらず)。

赤いTシャツに黒文字で「同性婚支持」のメッセージが書かれ、背中にはLGBTの四文字だけがプリントされていて、全然オシャレではないのですが、これはあえてだと思います。ここで店の宣伝をしようとは思っていない。

 

 

台湾のLGBT運動の強さ

 

vivanon_sentenceなんかすごいなあ。日本だと、パレードさえも「うちは関係がない」というゲイバーも多く、私の知っている観光バーのママは、二丁目振興会にも入らず、「ああいうのは嫌い」とはっきり言ってます。

 

 

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