松沢呉一のビバノン・ライフ

くっきりと見える世代の差—アジア初の同性婚実現間近の台湾へ 4-(松沢呉一) -3,095文字-

HIVの話題を避ける空気が変わりつつある—アジア初の同性婚実現間近の台湾へ 3」の続きです。

 

 

会場へ

 

vivanon_sentence同性婚支持のコンサート当日。

私と福田君は、コンサートが始まる一時間前の午後一時に、会場の最寄り駅である台大医院駅で待ち合わせている真夜ちゃん主催のSMサークルと合流することになっていて、私は朝から周辺を散策。

朝から寿司を食いました。なんか日本にはないオモロいことをしてないかなと思ったのですが、ネタが少なく、味はイマイチ。チリから輸入したサーモンは日本で食べるのと同じクォリティですが、あんまり面白くはない。こっちは巻寿司が人気で、これはちょっと面白くて、色とりどり。味はまあまあ。

メシを食ったら眠くなってきたので、長閑な日和の中、公園で昼寝。これが気持ちよくてさ。

昼寝をしたのはまた別の公園ですが、台大医院駅はいつも行く二二八和平公園の脇にあります。待ち合わせの一時間前に着いて、様子を見てました。

レインボーグッズを販売している出店がいくつかあります。でも、そんなに買う人はいない。というのも、小旗、ステッカー、風船を多数配布しているので、そういうのは買うまでもない。売れていたのは顔などにプリントできるシールです。

とくに配布されるステッカーの数がすごくて、ゲットしただけで三十種くらいありそう。黙っていても、ベタベタと体に貼付けてきます。いろんな団体が作っているのですが、団体名がわからない。それを入れると、使いにくくなるためでありましょうか。

 

 

なぜ紙は配布されないのか

 

vivanon_sentence来ている人たちはとっくに趣旨をわかっていますから、紙資料はほとんど配布されてない。主催は、新光三越前で最初にもらったFAQの紙っぺらくらいしか配布していなかったかもしれず、他団体も紙はほとんど配布していなかったと思います。

日本だとこういう場合は各団体がこの日とは関係のないビラの類いを配布するのが通例ですが、それがないのです。いまだに会社でFAXを使っている日本はいまだに紙で伝える。

私自身ほとんどそういうものを受け取らず、読まないので、もうやめていいんじゃなかろうか。

同性婚は、蔡英文総統が支持していて、与党が進めているため、なんでもかんでも政府のやることは気に食わないというタイプの人はここに来にくいということもあるかもしれないですが、たぶんこの国では、どこでも紙はもうあまり使われていないのではないか。

あるいは世代的なことなのかもしれない。若い世代ばっかりなので、紙は邪魔。ゴミになるだけ。そんなもんはネットで読む。

政党や組合のフラッグもわずかには見ましたが、下に団体名が小さくあるだけで、レインボーと同性婚支持の文字が大書されています。

台湾のプライドパレードは派手ですが、この日は派手な格好をしているのはほとんどいません。コスプレや着ぐるみも見ませんでした。もっとも派手なのは民族衣装の人たちです。これは意義があるとして、個人や団体が目立ってもしゃあないですからね。

参加者は二十代が中心層で、十代、三十代もまあまあいて、四十代になると激減し、五十代になると、鏡を見ないと見つからない感じ。いないわけではないのですが、本当に少ない。

東京ドームで大きなコンサートがある日の水道橋駅ってところ。水道橋だと近隣の会社員らが混じるので、ここまで若くはならないか。

 

 

なぜああも参加者が若いのか

 

vivanon_sentenceコンサートだからということもあるでしょうし、台湾で社会運動を担うのは若い層ということもあるでしょう。もうひとつ大きいのはLGBTの理解に大きな世代差があるってことかと思います。

これは以前から聞いていた話です。今の四十代以上とそれ以下との間にはっきりと断絶があります。自分が当事者であることを今なお言っていない人が四十代以上には圧倒的に多い。アジア最大のパレードとなった「台湾同志遊行」を始めたのは二十代で、本年で十四回。その世代が現在三十代です。

今の二十代ともなると大学でも隠さず、職場でも隠さないのが増え、顔を出して蜜蜂をやる。写真は撮れなかったですけど、この日も中学生のグループがそう名乗ったプラカードを掲げていて、堂々としたものです。しかし、そうなってもなお四十代以上のほとんどはひっそりと生活しています。長年作ってきた環境はそう簡単には変えられないでしょう。

つまり、2000年代に入って青春期を迎えた世代と、それ以前の世代との間に、はっきり目に見えるくらいの差がある。

 

 

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