世代を越えて、人種を越えて、性を越えて—ウイメンズ・マーチ雑感 2-(松沢呉一) -2,633文字-
ウーピー・ゴールドバーグとオノ・ヨーコ
ウイメンズ・マーチは、ステージ以外のところでもさまざまなドラマがあって、Facebookに流れてきて知ったのですが、会場にはウーピー・ゴールドバーグも来ていて、自らオノ・ヨーコとの写真をFacebookで公開。
オノ・ヨーコはもう80代なのか。私が子どもの頃にもう十分に大人だったのですから、そりゃそういう歳なんですけど、車椅子なのですね。長時間歩く時だけ車椅子を使う人もいますし、たまたまこの時捻挫でもしていただけかもしれないですから、常にそうなのかどうかわからないですが。
オノ・ヨーコはアンジェラ・デイヴィスとも会ったんでしょう。アンジェラ・デイヴィスも70代ですから、もうおばあちゃん。この日も登場していたシェールも70代。
ウーピー・ゴールドバーグは60代、マドンナがそのちょっと下。私と同世代。体がボロボロになってきていても、この世代はもう少し頑張れる。
ワシントン大行進からウィメンズ・マーチへ
さらに、その下の世代があの日も奮闘していました。
下の世代になると、歌手も俳優も名前と顔が一致しないのですが(ブルガリアのチャルガ歌手ならたいていわかるのに)、前回の動画に出てきたようなピチピチの若い世代も同等にスピーチをし、子どももスピーチをし、セクシュアルマイノリティもスピーチし(LGBTだけじゃなく、LGBTQという用語もよく使用されていた印象。Qはqueer)、ヘテロの男たちも控えめに登場。世代を越え、人種を越え、セクシュアリティを越えて、連帯する様子が見えていました。
そりゃ、「あれがない、これがない」と言い出せばキリがないですけど、おおむね広範に配慮されていたろうと思います。
マドンナが話題をさらっていくことをわかりつつ、前回出したあの動画はマドンナとアンジェラ・デイヴィスを組み合わせ、なおかつスタッフと思われる若くて元気な彼女を冒頭に入れていたのはそういう意図なのだろうと思います。
彼女はスピーチの中でマーティン・ルーサー・キングの名を出してました。
マドンナだけじゃない、すべてつながっているぞと。私も前回同じようなことをしてみました。
さらに、見えないところでは、ウーピー・ゴールドバーグやオノ・ヨーコのように話題にならなくても、もっとさまざまな出会いや連帯があっただろうと思います。
トランプが広げる連帯
誰かもステージでそんなことを言ってましたが、ウイメンズ・マーチは、トランプが分断しようとしている性、人種、国籍といった壁を越えた連帯を強化することを実現したと言っていいでしょう。
ミュージシャンらが多数参加している様子は、トランプ就任コンサートに出演依頼したミュージシャンたちが次々と辞退をしたことも思い出させます。表現の力と責任を感じさせます。
それにしても、よりによってオープンリー・ゲイのミュージシャンを代表する存在であるエルトン・ジョンに声をかけるかなあ(正式なオファーの前にトランプ側が出演をほのめかして、本人が否定という経緯ですが)。おそらくここではエルトン・ジョンがどういう人物であるのかの検討などなく、ただそこに来て欲しいという自分の都合が優先し、人間の個性や意思というものをまったく認めていないのだろうと想像します。
そして、ローリング・ストーンズに使用しないように要請されていたにもかかわらず、トランプは就任コンサートでストーンズの曲を使用。
著作権法上、あるいは著作権管理団体との契約上、こういう使用は事前の承諾が必要がなく、よって使用を禁じることもできないのかもしれないですが、本人から使うなと言われたら使わんでしょ、普通。
トランプはストーンズが好きみたいですが、だったらいよいよ本人の意思を尊重するところですが、意地になって使ったんでしょうね。ガキか。ガキはガキの方法を駆使していいとして、大統領がガキでは困る。
そのストーンズが歌ったアンジェラ・デイヴィスは翌日ウイメンズ・マーチのステージでスピーチ。同じくアンジェラ・デイヴィスを歌ったオノ・ヨーコは、ウーピー・ゴールドバーグと握手。
トランプによって広がる連帯。
※SSはMSNBCの中継より
この日も登場、ロージー・ザ・リベッター
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