松沢呉一のビバノン・ライフ

リテラシーが機能しない環境を避ける—BuzzFeedの姿勢を支持する 3-(松沢呉一) -2,674文字-

猫より携帯を助ける小学生—BuzzFeedの姿勢を支持する 2」の続きです。

 

 

 

バカが騙されるだけではないことの深刻さ

 

vivanon_sentence前回、その典型を見たように、リテラシーがあるはずの人でも、リテラシーが発揮されなくなる状態になり得ます。

ちょっと前にもTwitterでRTしてはいけないものをRTしているのがいて、会った時に注意をしたのですが、やはりリンク先を読んでませんでしたし、私がそのことを注意するまで、リンク先は一度も見てませんでした。RTしたらしっぱなし。本当は興味さえないのでしょう。

彼は「誰だかさんがシェアしていたので」と言い訳をしてました。彼の能力からして、読んでいたらまずいことに気づけたはずなのですが、その名前で情報を盲信してしまっていて、誰だかさんが間違えることを想定していない。

その誰だかさんのことを私はよく知らないですが、聞きようによっては「オレは悪くない。その誰だかさんが悪い」と言っているようです。誰だかさんのことをよく知らない私にとっても、誰だかさんの評価はがた落ち。その誰だかさんだって、「リンク先を読まずにRTしろ」なんて言ってないわけですから、どっちも信用を落とす。

私の話を聞いて彼は納得して訂正ツイートをしていたようですが、私に言われたから納得したような気になっただけで、あの段階ではまだ元記事を読んで、どこがどう間違っているのかの検討をしていなかったんじゃなかろうか。「どこかの誰かさん」から私に、依拠する対象をずらしただけ。もしかすると、今なお記事を読んでいないのかもしれない。

知り合いが書いたことは無条件に「いいね!」をつけてしまう人たちもよくいます。「私も読んでますよ(読んでないくせに)」というアピールです。こういう姿勢がデマを作り出しかねないことにあまりに無自覚です。

RTや「いいね!」をしていないと、自分の存在が忘れられると思っているのでしょうけど、忘れられてもいいだろ。信用を失うよりまし。間違った情報を拡散するよりまし。

電車内でゲームをやるのも、小声で携帯で話すのも私は迷惑とは思わないので、そっちはよし。歩きながらやっている人はぶつかりそうになってウザいし、とくにホームでは危険なのでやめた方がよく、デマの拡散をしかねないので、「歩きSNS」もやめるべし。

 

 

リテラシーが発揮されない局面を回避する方法

 

vivanon_sentenceネットは便利。ネットは楽しい。それと同時に危険。そういうものとしてうまくつきあっていくしかない。

私がそうしているように、リテラシーが発揮されない状況があることを自覚すれば、それが起きやすい条件を減らすことができます。まずは自覚すること。自分も間違うことがあるとの自覚がない人たちが、何度注意しても繰り返す。

とくに酔って書き込みをする人はタチが悪い。酔っぱらうのはいいとして、酔ったら冷静な判断ができなくなることくらい自覚できるはずで、それでも書き込みをしてしまう人は信用ならない。書いてはならないことを書いてしまいますから、こういう人には情報を教えない方がいい。つうか、人間関係を断った方がいい。巻き込まれますので。

もちろん、どんな状況でもリテラシーが発揮される人は何もしなくていいとして、リテラシーのある人、失うものが大きいはずの人でもミスをするってもん。ましてや、リテラシーの低い人はいともたやすくミスる。

人によってその状態を回避する方法は違うでしょうが、スマホでSNSをやらないようになり、さらには待ち合わせの時以外は持ち歩かないようになり、だったら、ネットが見られる必要がないので、ネットの契約を解除し、スマホなのに電話しかできない状態になっているのが今の私です。

私は常時人とつながっていたいなんてことを思わず、むしろ人と切断されていたい欲求が高まる時間の方が長いので、こうしていることに特別の欠落や支障は感じてません。連絡がとりにくいので、周りの人は困っていることがあるくらい。

そこまでやらなくてもいいとして、リンク先を見ず、ソースを確かめずに反応するのはやめるのが第一の取り組みです。リンク先を読まずに、「自分アピール」をコメントしてくるのはウザいですしね。

 

 

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