子どもをダシにして深夜番組に難癖をつけるジャーナリストと朝日新聞—女言葉の一世紀 2-(松沢呉一) -2,274文字-
「朝日新聞のコラムに愕然とした年末—女言葉の一世紀 1」の続きです。
深夜までテレビを子どもに見せたがる異常
前回取り上げた朝日新聞のコラム「(よこしまTV)気になった言葉遣いの「気になった言葉遣い」の論旨で言えば、「放映されている時間帯はいつなのか」の情報が必須かと思うのですが、それさえ記述がありません。意図的に伏せたのか、どうでもいいとでも思っているんでしょう。
どうでもいいはずがないので、こっちで調べましたよ。
「黒い十人の女」の放送時間は一部地域を除いて木曜日の午後23時59分から。実質、24時です。
こんな時間帯に放送される番組に対して、こんな時間帯のドラマのことは語っていないだろう倉本聰の言葉を転用し、子どもへの悪影響をもって難癖をつける。
「寝るな」と子どものほっぺたひっぱたきながら、こんな時間まで起こしておいて、ドラマを見せる親がいたら、親が異常。そんな親がいたら、親を叱れ。現実にはこんな親はいないわけで、24時からのドラマを小学生が観る可能性は相当に低い。存在しない存在を捏造して原稿料稼ぎをする卑しさよ。
女言葉の消滅はインターネットと関係なし
中学生にもなれば、こういう時間まで起きていて、自分の部屋でテレビを観るのもいるかもしれないし、録画して観るのもいるかもしれないですが、「女言葉の消滅」シリーズで見たように、中学生にもなれば、女子でも男子のような言葉遣いをしているのが現実。テレビドラマを観ないのが増えている時代に、今さらドラマで急に言葉が汚くなることなんてないでしょう。
とりわけ喧嘩になれば、女子でも思い切り汚い言葉を使うのがいることも、すでに見た通り。喧嘩になっても「あなたのお口に手を突っ込ませていただいて、心臓をバクバク言わせて差し上げますことよ」って言う女がどこにいる。わざと言うのはいるかもしれないとして。
「女言葉の消滅」シリーズは冒頭に書いているように1994年のものです。インターネットが広く普及する前です。その段階でも、喧嘩をすると女子の口から「死ね」という言葉が出てくることを確認しています。
つまりは、インターネットと関係なく使用されていた言葉がインターネットで可視化されたものでしかありません。それを無理矢理インターネットにつなげて、自分の主張に意味があるかのように見せかける強引さ。
今時の娘さんたちのしゃべり言葉を文字にした時には、声もヴィジュアルもない分、乱暴に見えてしまうことがあると「女言葉の消滅」シリーズに書きましたが、テレビだったら、そのまま出すのがリアルってことです。
しかし、このテレビ評は、現実の言葉遣いをそのままドラマにするのはけしからんと言ってます。まして、不良娘たちを登場させるドラマもけしからんのでしょう。あるいは、そういう娘たちでも、現実には存在しないような丁寧な言葉遣いをすれば納得するんでしょうかね。
こういう馬鹿げた人たちが、プッシー・ライオットに女言葉を使わせている。男女の役割分担を批判する本で女言葉を使わせている。
乱暴な言葉遣いをしているように感じるのは、時代の変化が見えていないからです。そんな人間がテレビ評を書いていること自体が間違いです。PTAの会報にでも書いておけばいい程度の原稿かと思います。
子どもをダシにしてゼニ稼ぎをするな!!
あのコラムに出ている他の番組も確認してみました。
「地味にスゴイ!」は水曜日の夜10時から、「IQ246」は日曜日の夜9時から。「スニッファー」は土曜日の夜10時から。「IQ246」のみゴールデンで、あとは大人の時間です。
オランダだったら、夜の9時と言えば、チンコ、マンコが画面に出る可能性がある時間帯です。「オランダのTVは夜9時以降は性器も挿入シーンも・・・権力批判と依存の関係」を参照のこと。
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