松沢呉一のビバノン・ライフ

Maison book girlの虜—アイドルって面白い 2(松沢呉一) -2,654文字-

水曜日のカンパネラはアイドルか?—アイドルって面白い 1」の続きです。

 

 

地下アイドルの猥雑さ

 

vivanon_sentence前回書いたように、昨年はアイドルについて考える機会が多く、さらにこれの後押しをしたのが宗教法人マラヤでした。

昨年11月17日、四谷アウトブレイクで行われた「BBG(分倍河原)48×おいおい教バンド+宗教法人マラヤでは、BBG48とおいおい教バンドが強烈だったため、その分、かすんだ感もある宗教法人マラヤですが、アイドルという点で、私は大いに刺激を受けました。

客に酒をねだり、飲んだくれながらライブをするアイドルがいるのか。エロワードをちりばめた曲をやるアイドルがいるのか。

しかも、彼女らは酔って他のアイドルに喧嘩を売ってトラブったりしているらしい。不良アイドルか。また、この直前には、メンバーの二人はTwitterで喧嘩し、解散するとまで言っていたそうです。話題作りの演出ではないみたい。

 

 

今時のアイドルはこんな曲をやっているなどと、朝日新聞でコラムを書いている中山治美さんには決して教えないようにしてください。

パクリ臭いフレーズがちりばめられてますが、曲も面白くて、このあとしばらくの間、地下アイドルの曲を聴いてました。二日か三日ですけど、宗教法人マラヤとはまた違う方向で、私の中でのイメージとは違うアイドルがいっぱいいることを発見したのが収穫。

しかし、面白いとは思いつつ、ハマるというところには至らず。この段階では、「地下アイドルには面白いのがいるんだな」で留まってました。

 

 

Maison book girlにやられました

 

vivanon_sentenceそして、ついこの間。「顔出し率調査・アイドル編」でCDジャケットの顔出し率を調べている時に、動画を見て、そこから逃れられなくなりました。

最初はこれです。

 

 

ももクロのCDをチェックした時に、Amazonで出てきたMaison book girlを調べて、ついでにこのPVを観て「エッ!? 本人たちが出てこない。音からしても、これはアイドルじゃないべ」と思って、検索してみたら、アイドルでした。徳間からリリースされています。

音はアイドルかどうかの判定基準にはならないわけですけど、それにしてもこの曲は私の中でのアイドルの曲というイメージから離れすぎてます。

他のPVでは顔出しをしてますが、これまた無表情で、媚びた笑いなし。アニメ声もなし。ミニスカもなし。言っちゃ悪いけど、そんなにかわいいってわけでもない。この判断は人によりけりでしょうけど。

計算したものでしょうが、すべてがアイドルらしくない。

 

 

タバコやマリファナではないでしょうが、煙を吐いていて、不良っぽい。アイドルは不良ばっかりか。

プログレ時代から変拍子が好きで、変拍子があればご飯が三杯は食える私はブクガにやられました。歳を食った分、そんなにご飯は食べないですけど。

この振り付けにもやられました。このリズムに合わせた振り付けは、どうしたっておかしな動きになります。それを鍛えられた肉体を持つわけではない女子たちが淡々とやっている。動きが揃っているのか揃っていないのかもわからない。落ち着きが悪く、予定調和じゃないものが好きな私はブクガの虜になりました。

歌詞は直接的ではないため、その意味を正確に受け取ることは難しいのですが、snow ivoryでは、「わからない わからない 愛とか」と歌っていて、少なくともビョークの言うような狭い意味で、恋愛を歌っているわけではありません。ふふふふん。

 

 

ヤバい、どの曲もいい。

cloudy ironyでは、「体を重ねる度に何かを失って」という歌詞もあって、これはセックスです。しかし、ここでも一人の相手に向けたメッセージになってはおらず、

 

 

ライブでも歌っている時は笑顔なし。MCは普通ですけど。たまらん。ブクガ、大好き。

 

 

 

ブクガはサクライケンタって人の仕業らしい

 

vivanon_sentence曲を聴くだけでもゾゾッとするのですが、これがバンドものだとこうも好きにならなかったかも。女子の声なんだと思います。そして、あの素っ気ない歌い方と動き。

「誰だかちゃんがかわいい」とかまったくなくて、まだメンバー名も覚え切っていないのですが、そういう好奇心をそそらないところがまた魅力。でも、ライブは行きたい。

こんな曲を誰が作ってるんだと思ったら、サクライケンタって人らしい。ブクガの個々のメンバーより、こっちの方が気になります。

前はいずこねこというのを手がけていたらしい。アイドルの知識がまったくないので、すべて「らしい」。

 

 

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