松沢呉一のビバノン・ライフ

「ちんぽ」絶好調—『夫のちんぽが入らない』における「ちんぽ」の考察 1-(松沢呉一) -2,524文字-

 

「夫のちんぽが入らない」は十万部超えは確定か

 

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本が出る前に書いた「『夫のちんぽが入らない』と『妻のまんこに入らない』」の時点では、タイトルが話題になるところまでは確定として、話題になっても買うには至らない、あるいは買おうにも買えなくて、さほど売れない結果になる可能性もありそうだと思っていたのですが、今はネットで本を買える時代ですから順調な売り上げのようで、発売翌日には増刷決定。私が買ったのも二刷でした。この調子だと、十万部は超えますね。

また、紀伊国屋新宿本店ではいい場所にどーんと置かれてましたから、書店でも売れ行き好調のようです。注文はしにくいとしても、エロ本じゃないんですから、買うのはそう恥ずかしくもないか。人によりましょうけど、私は児童陵辱ポルノ『親なるもの 断崖』を買った時の方が恥ずかしかったです。

予想されていた通りに広告の掲載拒否もあり、Twitterの公式アカウントによると、12日(日)の朝日新聞の朝刊にはタイトルなしの広告が出るとのこと。

 

という話題が作れる広告ってことです。これだけ注目されていると、どう転んでも宣伝になります。「どんと来い、掲載拒否」「どんと来い、倫理規定」って感じですわね。

 

 

『夫のちんぽが入らない』を読了

 

vivanon_sentence本は十年くらい寝かせてから読んだ方がノイズのないところで冷静に読めるものですが、この話題にはついていきたいので、先日、武蔵村山市の銭湯まで行きました。

話のつながりがよくわからんでしょうけど、私はうちにいる時は国会図書館が公開しているものを読んで、外出時に本を読みます。早く読み終わりたい時は、読書時間を稼ぐため、遠出をします。

そしたら、ホントに武蔵村山市の砂川湯は遠くてさ。

最寄り駅は多摩モノレール桜街道。武蔵村山市に行くのも、多摩モノレールに乗るのもこれが初めてかと思います。モノレールに乗るのは嬉しかったのですが、高いところを突っ走っていくモノレールは、先頭に乗るのが楽しいのに、夜は運転席の窓にカーテンがかかっていて、正面の風景が見られなかったので、嬉しさ半減でした。

桜街道駅は東大和市にあり、武蔵村山市はその隣。駅から徒歩20分くらい優にかかります。歩いている時間が長くても本は読めないですが、電車に乗っている時間も長かったため、だいたい読みまして、残りはその日のうちに異例の自宅読書で読み終えました。

銭湯にたどり着くまでのもどかしさは、『夫のちんぽが入らない』のもどかしさに通じるものがありました。

※砂川湯は駐車場も完備。普通の木造銭湯よりも湯気抜きが高くて広く、実際の面積以上に広々としています。浴槽は三つあって、ひとつは熱い湯。46度に近い45度台かと思います。あれ以上になると辛い。いい気になって長めに入っていたためか、首筋を低温火傷したかも。

 

 

いきなりだが、夫のちんぽが入らない

 

vivanon_sentenceだいたいの内容は聞いていたため、「えーっ、バカ話じゃなくて、こんな深刻な話なの?」という動揺はなかったのですが、それにつけてもどんよりと重苦しい空気が文字間にずっと漂っていて、モノレールから飛び降りたくなりました。

 

 

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