松沢呉一のビバノン・ライフ

塚本幼稚園と上野千鶴子の共通点—「誤解」「誤読」というごまかし-(松沢呉一) -3,929文字-

 

塚本幼稚園による「お詫び」

 

vivanon_sentence森友学園の問題は各メディアが報じているので、私が書く余地などどこにもないと思っていたのですが、昨日、塚本幼稚園のサイトを見たら、こんな文書が出てました。

 

 

「お詫び」としているのですから、謝罪文のようですけど、この幼稚園がどんな文書を出していたのかは、すでに報じられている通りです。何が「外国人の方に対する誤解を招く表現」だ。

自分らが出した文書は間違っていないが、誤解した人がいたので謝ると。どんだけムシのいい幼稚園か。すべてにおいてムシのいい幼稚園だったことが明らかになってきているわけですけどね。

瑞穂の國記念小學院の「安倍昭恵先生」も、肉を食った話を書いている暇があるんだったら、弁明のひとつもしてはどうなんでしょう。塚本幼稚園では「立派な人」とは、「けじめ・しつけができている」「善悪の区別がつく」人のことだと教えてますから、名誉校長も善悪の区別をつけ、けじめをつけましょう。

※図版は2016年にロイターが報じた映像より

 

「誤読」でごまかす人がここにも

 

vivanon_sentence世の中には、通常の読解力があれば理解できることが理解できずに難癖をつけてくる人たちがいますから、「誤解」「誤読」という言葉を使うのが適切なケースもあるでしょうけど、自分の発言のミスを認めず、こういった言葉でごまかす人間を信用してはいけません。本心は「自分は悪くない」と思っていることを吐露しているわけですから。

あれ? 似たような人が他にもいますね。

上野千鶴子は、移住連(移住者と連帯する全国ネットワーク)からの公開質問状に対して、2月16日付けで「人口減少か大量移民か?」という文章を出しています。

反論の掲載を中日新聞に求めましたが、断られた」ものがこれらしい。つまりは、これは質問状に対する反論だそうですよ。

 

以下1時間以上にわたる「談話」を簡略にまとめた記事では意を尽くせなかったところを、文書で説明したいと存じます。

移住連の方たちや、のりこえネット、国際人権NGO等の方たちが、すでに国内に在住している外国籍の方たちの人権擁護のための活動を担っておられることには、100%の敬意を払っております。

とはいえ、ご批判には基本的な誤読があると感じました。

 

誤読?

では、中日新聞で上野千鶴子が何を言ったのかを確認しましょう。

 

日本はこの先どうするのか。移民を入れて活力ある社会をつくる一方、社会的不公正と抑圧と治安悪化に苦しむ国にするのか、難民を含めて外国人に門戸を閉ざし、このままゆっくり衰退していくのか。どちらかを選ぶ分岐点に立たされています。

移民政策について言うと、私は客観的に無理、主観的にはやめた方がいいと思っています。

 

上野千鶴子はこの二者択一を出した上で、「難民を含めて外国人に門戸を閉ざし、このままゆっくり衰退していく」という選択をこのインタビューで推奨しておられます。難民も入れるなと。それ以外には読みようのない文章であり、だから批判されたのです。批判されたのはそれだけではないですが、「難民も入れるな」という主張をしたことが大前提です。

 

排外主義の新たな形

 

vivanon_sentence「多文化共生・多民族共生」なんて言葉をいくら掲げたところで、そんなに簡単なことではなくて、このことは私も「ビバノンライフ」で指摘してきました。

だからこそ、その準備をしなければならない。私自身、まずはネットワーク作りと考えて、動いたりもしたのですが、こっちの体制ができてないため、容易ではない。容易ではないながら奮闘している人たちがいます。

その難しさをもって、日本では無理と結論を出し、「みんな平等に、緩やかに貧しくなっていけばいい」と言い放ったのが上野千鶴子です。

今現在だって格差が広がるこの社会がどうして平等に貧しくなるはずがあるのでしょう。今現在の社会で「再分配機能を強化する」というお題目をまず実現してから言ってはどうか。

難民を含めて受け入れることは不可能と決めつけ、もうひとつの不可能をぶつける。排外主義の新たな形であると言われても仕方ない内容です。

 

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