松沢呉一のビバノン・ライフ

男と女が好むエロはどこがどう違うのか—田中美津インタビューの疑問点 4-(松沢呉一) -3,041文字-

知らない世界を知るためのAV—田中美津インタビューの疑問点 3」の続きです。

 

 

 

自分の趣味を批判的に語っているのでは?

 

vivanon_sentence前々回前回と書いてきたように、私が観てきたAVが偏っていることは否定しません。ちゅうか、誰がどう見ても偏ってますわね。

しかし、現にそういったジャンルのものを中心に観てきた私からすると、田中美津さんのようなステロタイプなAV観をふりかざす人たち、それに共感してしまう人たちを見ると、「あなた方は好き好んでそういったものを自ら選択して観てきただけじゃないのか」と言わないではいられない。つまりは、そちらもまた偏っていて、自分の趣味をAV全体に投影して批判的に語っているだけじゃないのかなあ。

好き好んでそういうものを観てきたことは批判できない。個人の勝手。私自身、偏ったものを観てきたことを批判されたくはない。しかし、それを全体だと誤解するのはやめた方がいい。私は誤解していないので、AV総体については語れないと言ってきました。

どうやっても「観たいもの」は偏りますよ。仕事でもないのに、ナンパもの、ロリもの、熟女もの、SMもの、スカもの、フェチもの、同性愛もの、シーメールものなどを全部同じように観てきた人なんていないでしょう。

その選択において、男女の傾向に違いがあるのは事実だろうと思います。では、そのことを見ていくとしましょう。なにしろAVには詳しくないので、ちょっと遠回りします。

 

 

女の好むエロ

 

vivanon_sentenceこのシリーズの一回目に書いた、AVを多数観てきた知人がFacebookで指摘していたのは二点。

 

1)男性の受身物が多くなっている

2)女性ユーザーは意外に凌辱物が好き

 

この2点目については私もある程度のことはわかります。いくらAVを観てもわからんわけですけど、AVが好きな女子たちに「どんなのが好きか」を聞けばいい。おそらく田中美津さんや、そのAV観を肯定した人たちは、そういうことさえやってきていないのでしょう。そっからまずはやりましょうよ。

私の周辺にも何人かいますが、「凌辱ものが好き」という女子が確実にいます。AVを観る絶対数が男の方が多いため、凌辱ものが好きな数は男の方が多いとしても、率で言うと、凌辱ものを好む男より女の方が高いのではなかろうか。

率の高さについては私個人の実感に過ぎませんけど、女子がユーザーの中心になっている表現物を調べればそういうものを好きな女子が相当数いることがはっきりわかります。

昔の女王様たちはマルキ・ド・サドだの澁澤龍彦だのから影響を受け、次の世代は村上龍だの山田詠美だのから影響を受け。今の若手はBLやライトノベルから影響を受けていたりします。

同人誌ならいっぱいあることは想像できるとして、書店に売っている、成人指定されていないものでも凌辱ものがあるとの話を若手の女王様に聞いて検索してみたら、ナンボでもあります。

ここに書影を出した『淫紋の贄』もBL小説で、成人指定なしで、Amazonでも売られています。こういうのを読んでいる十代の女子もいるわけです。

 

 

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