松沢呉一のビバノン・ライフ

兼松左知子著『閉じられた履歴書』のデタラメ 予告編- (松沢呉一) -2,332文字

全婦連の策動

 

vivanon_sentence全国婦人保護施設等連絡協議会(全婦連)は、売防法を制定した勢力の流れを汲み、自分らの食い扶持確保のために、売防法を維持してきた勢力であり、その反省もないまま、今になって「売防法は時代遅れ」として、新たな食い扶持確保のために売防法改正と、新規で法を制定しようとしている動きがあることは「売防法を制定し、維持してきた勢力が『売防法改正』を言い出した意図を見抜け」に書いた通り。

売防法は最初からいらなかったのです。従業婦組合の反対を力で潰してきたくせして、何がいまさら「時代遅れ」だ、時代遅れなのはおまえらだ。役割を終えて無用の長物と化した遺物が、どこまで浅ましいことをやり続けるのか。

売春の対策としては、最初から役割なんてなかったのだけれど、今なお存在しているのが婦人相談所や保護施設であり、婦人相談員です。

DV被害者のシェルターとしての側面は機能しているようですから、そういう存在として組織を作り直せばいいのに、もともとの設置のきっかけは売防法ですから、その意義があるかのように懸命な延命を図っています。

去年の暮れにも、上のSSにある記事が出ました。

記事を見ればわかるように、場所は救世軍のホールです。今なおこの連中は宗教道徳の擁護者であることを隠しもしない。この人たちの目的はまさにここにあるのだろうと疑えます。DVのシェルターとして組織替えをしてしまったら道徳の維持ができなくなります。そっちで組織維持を図りつつ、あくまで看板は売春否定にしておきたいのではなかろうか。

こういう人たちに共感する道徳主義者がTwitterでRTするのは当然として、こういう動きに批判的なはずの人までがこの記事をRTしていたそうです。いくら丁寧にこういう動きを批判しても、理解されていないことがわかって虚しい。そういうヤツらを狙って、向こうは戦略を立てていて、まんまんとそれに乗ってどうするよ。

 

 

一部の人しか理解できないのだとしても続けるしかない

 

vivanon_sentence遊廓のことについてもずーっと書いてきたのに、私に近いところでも、『親なるもの 断崖』を史実だと思い込む人が出てきてしまう。

いくら時間をかけて検証しても、どうせ理解できんのだろうとの諦観が滲んできてしまって、やる気が失せるのですが、一方、上の記事を知ったのは、これを批判的に取り上げた「ビバノン」購読者がFacebookにはいたためです。ちゃんと理解できている人もいることに勇気づけられます。こういう人たちがもっといてくれると、おかしな情報が拡散することも防げます。

 

 

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