松沢呉一のビバノン・ライフ

読売新聞に報道される前にゲロする—私は出会い系バーに出入りしてました 1(松沢呉一)-2,667文字-

 

読売新聞社社員の下半身事情を知っている人はすべて晒すべし

 

vivanon_sentenceプライバシーに属することについては、公人たりとも報道されていい範囲には自ずと制限があります。「公人が公務ではない時間においてもプライバシーは存在ない」とまでは言えず、報じていいのは公益性がある場合のみです。

それが如何に事実であっても、かつ公人であっても、安倍夫妻がセックスしているところの写真を公開すれぱ、その写真の入手方法に違法性がなくても、肖像権に配慮していても、訴えられて負けるでしょう。

報じていい範囲は、「旅費、飲食費等、その関係に公費を費やしていた」「公務時間に会っていた、連絡をしていた」「それ自体が違法」といったものに限定されようかと思います。

政治家、および候補者の場合は人格、私生活までを含めて有権者からの審判を受けるため、公益性が生ずる範囲は必然的に広くなります。以上に合致しなくても、「結婚している」「恋人がいる」「不倫をしている」「キャバクラ通いをしている」「下半身の問題でトラブった」という部分まで報じられてよいかと思います。

しかし、今回の読売新聞の報道はどれにも該当しない。つまり、公益性がない。

 

 

 

 

わかっているのは「出入りしていた」ってだけです。

このレベルの話を問題とする人々の資格を問うことには公益性があります。風営法の対象になるとは言え、合法業種に出入りしていたことをさも問題であるかのように書き立てた媒体で働くヤツらは、当然、そんなところに出入りしていてはならないわけで、出入りしていたのであれば書く資格なし。出入りしていた理由を問わないのですから、取材であっても出入りしていたらアウトです。

読売新聞の全社員を対象に、下半身情報を晒すべし。新聞記者は公人でも著名人でもないですから、名前まで出していいのかどうかは微妙ですが、個人を特定できないのであれば、こんなことがなかったとしても、「チンコちっちゃい」「マンコくっさい」でも、なんでも書いていいわけで、今回は個人が特定されてもいいんじゃないですかね。

ばらされたくないなら、私同様、自ら先に告白すべし。もしくは社の方針を公然と批判して闘うべし。

 

 

なぜか読売新聞社の記者には会ってない

 

vivanon_sentenceここでちょっと面白いことに気づきました。私自身が知っていることがあれば率先してばらしますけど、読売新聞の人たちとはまるでつながりがない。

ここ二十年に限ると、私は読売新聞の記者に会ったことが一度もないと思います。取材されたこともなければ、取材現場で会ったこともない。メールや電話による問い合わせの類いもない。

もっと遡ると会っているんですけど、文化欄の担当であり、とっくに定年退職しているはず。それ以外にも会っている人はいるかもしれないですけど、記憶しているのはその人だけ。

ここ十年に限っても、朝日新聞の記者は複数、毎日新聞の記者も複数に会ってます。それぞれ三人か四人か、あるいはそれ以上会っていそう。東京新聞の記者にも神奈川新聞の記者にも産經新聞の記者にも会ってます。赤旗の記者にも東スポの記者にも。

それぞれテーマは違っていて、性風俗関連だったり、HIV関連だったり、原発関連だったり、ヘイトスピーチ関連だったり。私が出るイベント等に客で来ていたこともあります。

読売新聞以外でも、記者に会ってない新聞はあります。日経は私に話を聞くようなことがないのは当然。同じ取材現場に居合わせることがないのも当然かと思います。

夕刊紙の記者にも会ってないと思いますが、夕刊紙は足を使った取材をもとにした記事作りをしていないので、これも理解できます。

でも、読売新聞の記者に会ってないのはなんでだ? 記者クラブ経由のネタや官邸からもらったネタで記事を作っているからか。

ネット関連ではBuzzNewsの記者とはしばしば顔を合わせます。読売新聞の取材力はBuzzNews以下かも。

José Guadalupe Posada「A skeleton wearing a hat, holding newspapers and running」

 

 

出会い系バーに職務上の興味で行くこともあらあな

 

vivanon_sentence読売新聞に書かれる前に、出会い系バーに出入りしていたことを具体的に告白したいのですが、それについて書いた原稿はやはり見つかりませんでした。「出会い系」で自分のPCを検索すると、あまりに多数ひっかかってしまって探せない。連載の一部に使っていて、それをメインにした原稿ではなかったのかもしれない。つうか、単純に消したか、移植しそこなって、今のPCにないのかな。

でも、その店で撮った写真はすでに「ビバノン」で使ってました。「歌舞伎町の怖い話—飲み屋街の怪談 2」に使用した「ゴールデン街を上から見た写真」です。他では見たことのない角度からのゴールデン街と花園神社です。

この店は区役所通りの飲み屋ビルにあって、この窓からの眺めがよかったのですが、いい眺めだけでは人は集まりません。

 

 

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