実態は飲み屋版「愛人バンク」—知られざる「接待クラブ」 2-[ビバノン循環湯 267] (松沢呉一)-3,603文字-
「ある女子大生の告白—知られざる「接待クラブ」 1」の続きです。
男も女も愛人探し
五時間で五万四千円をもらえるなら効率はいい。月に十日出勤すれば五十万円以上、二十日出勤すれば百万円超えだ。
「世の中、そんなに甘くないよ、松沢さん。お客さんが来る日は来るけど、来ない日は全然来ない。毎日十数人は女の子が出勤していて、その人数と同じだけ、お客さんが来ることはなくて、あぶれることの方が多い」
—なるほど、キャバやヘルスだったら、他の客に指名されてもそのうち戻ってくるけど、そこだと連れ出されたら行ったっきりだから、つねに多数の女の子から選べるようになっているわけか。
「それでもお客さんの中には気に入る子がいなくて指名せずに帰る人もいるしね。高い遊びだから、適当なところで妥協しないお客も多いんだよ」
適当なところで妥協しない理由はただ高いというだけではないことはこのあとわかる。
—あぶれるのも多いから、紹介料をとらないと、店も時給を出せないわけだね。
「そういうこと。飲み代だけじゃ、絶対にやっていけない。人気のある子でも、出れば必ず指名されるなんてことはなくて、私の場合で、週に五日出たとして、店外に指名されるのは平均で二回くらいだったかな。それでもマシな方で、人気のない子だったら、五日出て一回もつかないこともあると思うよ」
五日出て時給分だけだと二万円。二回指名されて十万円。週に計十二万だから、月に五十万円くらいになる。しかし、指名されないと週給二万円のみ。
—五日出て二万円だったら、スナックのバイト方が確実。みんな、なんでそんなところに行くんだよ。
「楽だもん(笑)。シフトは決まっているんだけど、昼間は働いているのが多いから、遅刻や当日欠勤にもうるさくない。服装も普段着に毛が生えたようなものでよくて、ウィグも高いヒールもいらないし、ネイルにも行かなくていい。私はいつも女の子たちを観察していたんだけど、いくつかのパターンがあって、一番人気が高いのは真面目タイプ。保母さんだったり看護婦さんだったり。そういう人たちって、昼の仕事があるから、週に何日もヘルスやキャバで働く時間がないじゃん。でも、お金も必要で、だから、早く愛人を見つけたいんだよ」
—そんなところで愛人!?
「ごめんごめん、ちゃんと説明してなかった。お客さんも最終的には愛人を探しに来ている。店外での交渉は自由だから、直接交渉なら、以降は五万円で済む。気に入った子がいたら、他の男とセックスさせないように独占したくなる。女の子も確実に金を得るためには愛人がいい。よくできているんだよね」
※Pierre Paul Prud’hon「Andromache and Astyanax」 またの名を「保母さんは人気」
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