松沢呉一のビバノン・ライフ

著作権の非申告罪部分—著作者人格権について 3-(松沢呉一) -2,334文字-

人格権は一身専属権—著作者人格権について 2」の続きです。

 

 

今現在の著作権侵害の非親告罪部分

 

vivanon_sentence財産権としての著作権侵害についても、非親告罪化の話が出ていますが、以下は今現在の非親告罪部分についてです。

著作権侵害は親告罪であり、侵害された人に告訴されないと公訴を提起されないわけですけど、人格権侵害については別です。

 

第百二十三条  第百十九条、第百二十条の二第三号及び第四号、第百二十一条の二並びに前条第一項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

2  無名又は変名の著作物の発行者は、その著作物に係る前項の罪について告訴をすることができる。ただし、第百十八条第一項ただし書に規定する場合及び当該告訴が著作者の明示した意思に反する場合は、この限りでない。

 

第二項は著作者名の記載がない著作物や変名を使っていて、その変名が誰の変名であるのか明らかではないような著作物について、発行人がその代理になって告訴できるという内容。

第一項は罰則を定めた条文のうち、親告罪である部分を定めた条文です。それ以外は非親告罪です。告訴がなくても公訴を提起することが可能、つまり検察が起訴することが可能です。

ここはわかりにくいので、丁寧に見ていくとしましょう。

具体的には第百二十条の一、第百二十条の二第一号・第二号、第百二十一条の一、第百二十二条が非親告罪です。

百二十条の一、二は以下。

 

第百二十条  第六十条又は第百一条の三の規定に違反した者は、五百万円以下の罰金に処する。

第百二十条の二  次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

技術的保護手段の回避を行うことをその機能とする装置(当該装置の部品一式であつて容易に組み立てることができるものを含む。)若しくは技術的保護手段の回避を行うことをその機能とするプログラムの複製物を公衆に譲渡し、若しくは貸与し、公衆への譲渡若しくは貸与の目的をもつて製造し、輸入し、若しくは所持し、若しくは公衆の使用に供し、又は当該プログラムを公衆送信し、若しくは送信可能化する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあつては、著作権等を侵害する行為を技術的保護手段の回避により可能とする用途に供するために行うものに限る。)をした者

二 業として公衆からの求めに応じて技術的保護手段の回避を行つた者

以下略

 

第百二十条の条文に出てくる第六十条はすでに見たように「死後の人格的利益の保護侵害」です。死後の人格権侵害は非親告罪。おそらく、生前は本人が対処できるので、例外もありつつ親告罪とし、死後については非親告罪にしたのだろうと思います。

百二十一条は以下。

 

第百二十一条  著作者でない者の実名又は周知の変名を著作者名として表示した著作物の複製物(原著作物の著作者でない者の実名又は周知の変名を原著作物の著作者名として表示した二次的著作物の複製物を含む。)を頒布した者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 

氏名表示権侵害のうち、著作者名を偽って頒布したものについての条文です。これは「中身の一部を盗用した」のではなくて、中身はそのままで著者名を差し替えたようなケースを指します。ピカソの絵を自分が描いたように公表しても、自分が描いたものにピカソの名をつけて公表しても、これに該当します。

これについては生前であろうと死後であろうと非親告罪。人格権侵害の中でも悪質であり、時に混乱を生じさせるためだろうと思います。

 

 

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