松沢呉一のビバノン・ライフ

なぜ女性用コンドームは販売されなくなったのか—性差別とされるものの中身 5 -(松沢呉一) -2,507文字-

出張ホストの遊び方—性差別とされるものの中身 4」の続きです。

 

 

 

需要が伸びないことまで男のせいか?

 

vivanon_sentenceここまで書いてきたように、性風俗店の経営者に男が多いことや男向けの性風俗が多いことの背景にはいくつもの要素が関わっています(そもそも性風俗で経営者は男ばかりという認識自体が必ずしも正しくないことはすでに指摘した通り)。

これが性差別に見えて、性風俗否定の根拠になるのであれば、美容業界全体を性差別の温床として否定し、医療業界全体を性差別の温床として否定し、大学全体を性差別の温床として否定し、法曹界全体を性差別の温床として否定し、企業全体を性差別の温床として否定しなければならないでしょう。政界もですね。なおかつ、それらの業界全体を法で禁止することを求めなければならない。

それをやらずして、性風俗のみに適用する。ただの難癖、ただのインネンであることは明らかです。なんかの宗教にでも入っているのか、よっぽど頭が悪いのか、どちらかとしか思えません。

「需要がないため、供給されない。供給されても続かない」という事実をもって、「差別だ」なんて言えるはずがない。この不均衡が気になるのであれば、需要を拡大するように努力しましょう。

検索もしないで「女向けの性風俗があればいいのに」とボヤく女たちは、性風俗を否定する気はないでしょうが、「この社会は性差別に満ちているが、そういうものがあれば利用する私は先進的な女」ってことでしょうし、「私はその気があるのに、社会が間違っているので、私は何もしなくていい」ってことでしょう。相も変わらず「セックスの快楽は男が準備するものであって、女は寝てればいい」という考え方に支配されているのですから、ダッサいです。だから社会は変わらない。変える意思がない。

※写真は男性用ブラです。

 

 

男性用ブラに種類が少ないのはなぜ?

 

vivanon_sentenceたとえば「女向けのブラは種類がいっぱいあるのに、男向けのブラはほとんど製造されていないのは差別だ」と言えるかどうか。言えるわけがない。

男性用ブラの需要があれば各社いろんなもんを作るに決まっているじゃないですか。必要とする人たちは現状に不満があっても、「差別だ」と言わない。

では、「コンドームはコンビニで販売されているのに、女性向けコンドームやペッサリーが売られていないのは差別だ」と言えるかどうか。これも同じく需要があればコンビニが扱うに決まっているじゃないですか。避妊は男がするものという思い込みが男女にあるから需要が伸びず、コンビニに置かれないだけであって、「コンビニは性差別をするな」なんて言っても無駄です。これも難癖。

「男がコンドームをつけてくれない」というなら、女性用避妊具を自分で使えばいい。自分で購入してつねに用意しておく女たちが増えれば商品の種類も増え、コンビニが扱いますって。

Amazonで検索してみたところ、国内ではすでに女性用コンドームは販売されていないようです。

 

 

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