韓国・梨花女子大と比較する—日本の女性議員率 6-(松沢呉一) -2,659文字-
「共産党に続け—日本の女性議員率 5」の続きです。
女子大の存在が社会に広めるメッセージ
「将来は総理大臣になりたい」という夢を抱く女子高校生がいるとします。そのために法律をまず学びたい。総理大臣になるには東京の大学に行く方が有利かもしれない(過去のデータを見ると実際にそうです)。
それを親に言います。
「家を出るなら女子大に行くことしか許さない。共学の大学に行って傷ものにされてはたまらない。女子大の寮に入るんだったら学費は出すし、仕送りもする。共学の大学に行くなら自分で稼げ」
しかし、女子大で法学を学べるのは京都女子大しかない。自分の能力から考えて、京都女子大の偏差値は低過ぎて、彼女はお茶の水女子大の生活科学部に入り、栄養士になりましたとさ。
栄養士が悪いわけではなくて、選択肢が狭まれているのは不幸という話です。
こんなベタベタの頑固オヤジが今もいるのかどうか知らないですが、少しはいるんでしょう。もちろん、この親が悪いんですけど、現にそういう親がいた場合、どうしようもなく選択肢が狭まれてしまう。
あるいは小学校から一貫して女子の学校だったため、大学も女子大がいいと自身希望する学生もいるでしょう。あるいは体が弱いので、家から近い大学に通いたいという学生もきっといて、歩いて行けるのは女子大ということもあるでしょう。
女子大で法律が学べないことは、機会を奪うことになっています。お茶の水女子大付属中学から高校に進み、そのまま大学まで進もうとしても、法律を学ぶ選択肢がないのです。親がお茶の水女子大出身なので親しみがあり、自分もお茶大に進みたくても法律は学べない。各大学でそういうことが起き得る。
※韓国梨花女子大のキャンパス。YouTubeより。
ひとつひとつ着実に変えていきましょう
こういったことが起きていないとしても、そもそも女子大にこれほどまでに法学部がないことは、「女が学ぶべき学問」というところから、法学が外されていることを広く社会にアピールします。法を理解できないのでは立法という政治家の役割も果たせないのですから、「女は政治に向かない」と言っているに等しい。
ちゃんと調べてないですが、政治学も女子大ではほとんど学べないかと思います。なんなんですかね、これ。
あいまいな「男社会」に文句をつけたり、国会に「男だけで法律を作るな」なんて意味不明のことを言うくらいなら、女子大に「法学部を作れ」「政治学部を作れ」と言わなきゃダメでしょう。なんで改善可能なことをひとつひとつ実現しようとしないのか、さっぱわかんねえ。
本当は女性議員を増やしたいのではなくて、女性議員が少ないことをダシに男社会とやらに文句をつけて憂さを晴らしたいだけなのでは?
それ以前に、どうしてここまでこんなことが放置されてきたのでありましようか。
※梨花女子大の校舎。YouTubeより。
韓国・梨花女子大の場合
こうなると、「そもそも女子大ってなんだよ」との疑問が湧いてきます。
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