松沢呉一のビバノン・ライフ

女子大と銭湯は生き残れるのか?—日本の女性議員率 11-(松沢呉一) -2,628文字-

青山学院女子短大が消える–日本の女性議員率 10」の続きです。

 

 

 

女子大も消滅の運命か?

 

vivanon_sentence「存続の危機」は短大だけの問題ではありません。四大の女子大も、よりゆるやかながら減少し続けています。

ピークは平成10年(1998年)の98校だったのが、平成27年(2015)には77校に。女子大から共学校になったケースもあるので、大学は存続していたりもしますが、それ以上に女子大は減ってます。

共学の大学数は同期間に506校から702校に増加しています。

「大学が減るのにともなって女子大も減っている」というわけではなく、「大学数は増えているのに女子大は減っている」のです。

以下も前回に続いて武庫川女子大学による「女子大学研究調査」より(おおむねどこかが調べた数字を女子大という切り口でまとめ直したたものですが、わかりやすく見せてくれる内容なので、この調査は目を通すとよいかと思います)。

 

 

 

 

オレンジの折れ線は四年制大学の数。グリーンは四年制女子。大学数は増加傾向にあったのが、ここ数年は減少に転じたところでしょうか。対して女子大は1992年をピークにただひたすら減少。

これも短大の事情と同じで、明確な目的がある学生にとってはなお存在意義があるとして、「なんとなく女子大」という層にとっては行く意味がなくなってきています。「短大に行くなら四大に行く」のと同じく、「女子大に行くなら共学に行く」ということになる。

 

 

男女の選択の差

 

vivanon_sentenceなぜ女子大に行かなくなってきているのかは女子大の中身をみるとわかります。すでに見てきたように、共学の大学に比すと、女子大は法学、政治学、経済学、商学などの社会科学系が弱い傾向があります。それらを指向する学生は共学の四大に行くことになります。

共学でも、今まではそれらを専攻する女子は少なかったのですが、着々とその差は縮まっています。つまり、女子大では自分の求めるものが満たせないと判断する学生が増えていることが想像できます。

 

以下は武庫川女子大の「女子大調査研究」より。

 

 

 

数字までは見えないかもしれないので、詳しくは元データを見てください。これ以前は分類の内容が違うため、昭和43年(1968)以前はカットしました。

左から、水色は人文科学系男子、オレンジは社会科学系男子、グレーは人文科学系女子、黄色は社会科学系女子です。ここでの人文科学は文学、社会科学は法学・政治学・商学・経済学で、母数は両者に分類できる学生のみの総数です。

 

 

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