陰毛を伸ばしたままで東京はオリンピックを迎えられるのか?-毛から世界を見る 41- (松沢呉一) -2,876文字-
「オリンピックはセックスの祭典-毛から世界を見る 40」の続きです。
オリンピックへの心構えができていない都民
東京オリンピックでコンドームを選手村で配布する計画は進んでいるのでしょうか。いかに競技場を作って、選手村の食事を充実させたところで、コンドームが準備されていないようでは、世界に向けて恥を晒すことになります。
日本製コンドームは質が高いのですが、ヨーロッパやアフリカ大陸ではDurexが強いし、南北アメリカではTrojanを筆頭とした米国ブランドが強くて、なかなか食い込めない。オリンピックこそ日本製コンドームを世界に売り込む絶好のチャンスですから、リオ・オリンピックを超える数のコンドームを配布したいものです。
ラテックスが日本で最初に大きなサイズのコンドームを出したのは今から20年くらい前でしたっけね。以来、大きいサイズのコンドームも各種出ていますから、その点でも、各種選手に対応できます。スポーツ・セックス派の女子選手は女性用コンドームを欲しがるでしょうから、これは輸入もので対応するしかない。口惜しいですけど、これが日本の現実。
また、都民も選手を受け入れる準備ができているのでしょうか。東京都は、男も女もオリンピック選手にセックスを求められたら、断ってはいけない条例を作った方がいいかと思いますが、この時にひとつ問題があります。
「世界記録のためだ」と思って、競技場の近くの草むらでパンツを下ろすわけですよ。そしたら、相手の選手が「あ、用事を思い出した」と言って去っていくではないですか。
すでにこのシリーズで説明してきたように、とくにヨーロッパ、続いて南北アメリカでは、全剃りが主流です。イスラム圏でも「つねに」というわけではないにしても、宗教的理由から体毛を剃っている人が多い。
とくにスポーツ選手は剃るのがデフォルトになっています。コスチュームによってはハミ毛をしてしまいます。美的採点で減点は避けられない。採点のない競技でも、「ハミ毛しているかも」と気にしていたら、いい記録は出ませんし、思い切ってのシュートもできなくなります。
また、シャワールームで他人の股間が見えてしまい、注意もされるので、野球でもサッカーでも剃るのがデフォルトです。日本ではまだそうでもなかったりするのですが、国際交流や移動の多いスポーツ選手が全剃りムーブメントを拡散した側面もあります。
アフリカ、アジアは出遅れていますが、ことスポーツ選手に限っていえば、国際標準としては全剃り。残すとしても一部を残す。
あの映像ではわかりませんが、Trojan Gamesの選手たちも全員剃っているはずです。
毛が駆逐された理由は「不潔だから」
これを促進してきたのは「毛は不潔」という観念です。ただのファッションではないのです。
ここんところが実感としてわかっていない日本人が多いかと思います。だから、毛を伸ばしていられる。
たとえば「顔にウンコをつけている人をどう思うか」というテーマにおいて、それをなんとも思わない人は「あってもいいよね」「ある方が個性的だよね」「その方が好きだよ」と語る。
対してそれを嫌う人たちはたんなる美的センスではなく、「不潔」という観点から語るのです。たんなる好き嫌いではない。嫌悪という意味では好き嫌いかもしれないけれど。
だから、フランス人と結婚した日本人が、「夫に剃って欲しい」と言われたなんて話がネットに出ていたりもします。「ない方がエロい」「ない方が好き」というのではなく、「汚いので剃って欲しい」ということなのです。「ウンコが顔についている君のことも好きなんだけど、汚いので洗ってくれ」と。
※エロ画像が出てくるので、18歳以上の方のみお進みください。
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