松沢呉一のビバノン・ライフ

性風俗店が障害者を断るケース—スカーレットロード [3]- (松沢呉一) -2,431文字-

性風俗店が障害者を断るケース—スカーレットロード [2] 」の続きです。障害者の話が続きますが、障害者とセックスワーカーの関係を論じたいのではなくて、「国によって法が違う。業態が違う。文化的背景が違う」ということを論じたいので、誤解なきよう。「スカーレットロード」自体、広くセックスワーカーと障害者の問題をとらえたものというよりも、あるセックスワーカーとその客の関係をとらえたものです。

 

 

全盲のマゾはSMクラブも歓迎

 

vivanon_sentence障害者と言ってもさまざまであって、指が欠損している、腕や足が欠損している障害だったら、どこの性風俗店も対応できるでしょう。

故・カネヤマシン君も難病だったため、障害者認定されていたはずですが、免疫系の障害は、目に見える症状が出ることがあっても(彼の場合は湿疹みたいなものが皮膚に出ていることがあった)、一般にイメージされる障害とは違うため、それで拒否されることはまずない。感染性の病気ではないですし。

カネヤマ君もそうだったわけですが、現実に私の知人でも性風俗に行っているのが複数います。彼らについて言えば、それによって断られたなんて話は聞いたことない。たとえば片手、片足がないことで嫌がる店はないし、女の子もまず拒否するのはいない。義手や義足はかえって面白がるのがいそう。手の小指が欠損しているのは、別の意味で怖がるのがいるでしょうけど。

SM業界ではよく知られる、紅葉(もみじ)さんという全盲のマゾがいます。ご多分に漏れず、彼も高学歴の紳士です。

最近はあんまり店には出入りしていないみたいですが、かつては自分で調べて、単身SMクラブに行ってました。客引きに騙されたことがあったと言っていたと思いますが、店に断られたことはないんじゃないかな。

ただ、全盲であるが故にイヤな思いをすることはあります。女王様が手加減をすることがあって、その時は紅葉さんは「全盲だからって手を抜くな」と思います。

筋骨隆々の男だったら、いくらでも蹴ったり殴ったりできる女王様でも、ヒョロヒョロの全盲である紅葉さんだとためらうのは当然ですが、紅葉さんは、その辺のマゾとはレベルが違うので、並のプレイでも不満が生じそうです。そこでためらわない女王様がいると、紅葉さんは「ついていきます」って気になります。

紅葉さんはSM専門なので、それ以外の店には行かないですが、全盲だとソープランドでは嫌がられることがありそうです。足下が滑りますから、転んで怪我でもしたら責任問題になると考える。

Scarlet AllianceのTwitter

 

 

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