松沢呉一のビバノン・ライフ

セックスをし続けるために—ヤリマンからの電話[2]-[ビバノン循環湯 342] (松沢呉一) -5,223文字-

「三桁にして初めての体験—ヤリマンからの電話[1]」の続きです。

 

 

 

ヤリマンを続ける方法

 

vivanon_sentence彼女が語る「セックスの相手の選択基準」は、私もかなりまで共感できる。

私も仕事が継続している関係ではしない。その前にしたいとも思わない。性欲抑制装置が自動的に作動する感じ。

それと、人間関係が交錯している場合もまずしない。つい、なりゆきでそうなってしまうことがたまにあるけれど、それも安心な相手のみ。Aとセックスすると、Aのことを好きなBがいい気持ちがしないとか、Aと揉めると、ある集団との関係が悪くなるとか、彼女との関係に留まらない影響が出るためだ。当然、彼氏や夫を知っていてもしない。

かといって、人間関係が一切交錯していないところでセックスをするのも案外難しくて、どこかしらでつながっていることもあるわけだが、その彼女と切れても、その周辺とはつながり続けることができる程度のゆるい範囲で相手を選択する。

ここはヤリマンのこの彼女と私は共通しているのだが、その先で差が出る。この差は彼女と私という個の差であると同時に、おそらく男女差が反映されている。

「セックスをしたら、もう人間関係ができたような気がするから切りにくいよな。セックスがよくなくても、他にいいところがあったりするわけだし」と私は吐露。

「互いにそう思ったら、セックスなしでつきあえばいいことじゃん。私は、基本、そういう対象としてセックスしていないからさ。セックスするのはセックスだけ。そこから人間関係が始まることがあるだけ。××さんだって、セックスじゃないところで好きだから、セックスはしない。よくわかってなければセックスできたかもしれないけど、そうこうするうちに仲良くなった。そうなるともうセックスはしない。だから、その前にしておかないと」

「オレもそう思っているよ。仕事仲間や友だちという関係にセックスを持ち込まない。敬意や友情とセックスは関係がない。それでも切りにくい。これは自分の未練とはまた別の感情」

「だって、松沢さんだって、風俗に行ってエッチして、一回で終わることがあるでしょ」

「あ、そこに行くか。実際、よくあるよ。つうか、その方が多いよ」

「それと一緒だよ」

「なーるほど。でも、あれは合意ができているからさ。客としてはいつ行かなくなってもいいし、金がなくていけないとか、旅先だからなかなか行けないということもあって、それで無情だと非難されることはない。こっちも罪悪感なんてない。金でその合意を得ることができるんだよ。でも、その合意がないところでは切ることには遠慮が生ずる」

「私もいつ連絡をとらなくなってもいいって合意があるところでセックスをしているよ。仕事や友だちはそれができないから、そういう人とはしない」

「まあね、セックスとは無関係に連絡を断つことだってあるしな。ただ、男がそれをするのは難しいところがあるんだよ。女は淫乱と蔑視されるのに対して、男は冷酷なヤツって言われて、人間性を否定されかねない。つきあっていないんだから、“捨てられた”も何もないんだけど、女が泣きながら“捨てられた”と申告すると、同情するのが出てくる。“ラブホ行く?”“行く行く”みたいな軽いノリであっても、女が“私はあの人のことを愛していたのに肉体を弄ばれた、被害者だ”と言い出すと、とくに女たちは無条件にそっちに味方するだろ」

「ああ、ひどい男って言われそうだよね、松沢さんみたいに」

「それもそんなには言われてないと思うぞ。言われているとしても、どっか遠くの知らない世界で言われているだけだから、どうでもいいや」

「Glass bowl fragment with erotic scenes」

 

 

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