松沢呉一のビバノン・ライフ

セックスやめる宣言—ヤリマンからの電話[4]-[ビバノン循環湯 344] (松沢呉一) -5,813文字-

性欲と物欲のバトル—ヤリマンからの電話[3]」の続きです。これでおしまい。

 

 

 

風呂からの電話

 

vivanon_sentence二週間後の深夜、またセックスマスターから電話があった。

「松沢さーん」

「なんだよ」

「ねえ、声が響いてない?」

「ああ、反響しているね。どこにいるんだよ」

「知りたい?」

「うーん、それほどでもないけど、言ってみなよ」

「フフフ、正解はお風呂よ」

「トイレかと思ったよ。ウンコでもしているのかと」

「それもちょっと考えたけどね。この間、パンツ一枚で思い切って電話したのに、そっちはチンコを出していたじゃん。今度こそは負けられないなと思ったんだよ。ビックリした?」

「すげえビックリ」

「全然心が籠ってないよ」

「だって夜の一時だぞ。そろそろ寝るよ」

「寝る前に聞いて欲しいことがあるんだけど、その前にお風呂出ていい?」

「いちいち許可をとらなくてもよろしい」

「じゃあ、三十分後に電話していい?」

「なんで三十分もかかるんだよ」

「これから体を洗うんだよ。念入りにオマンコも洗うでしょ」

「わかった、わかった。チンコ出して待っているよ」

「あ、今日はそういうことを言っちゃダメ」

「何があったんだよ」

「あとで話すよ」

Alexandre-Louis-Marie Charpentier「Nude at the Bathtub」

 

 

私、セックスやめるから

 

vivanon_sentence四十分後。

「遅かったな」

「せっかくだから色っぽい格好で電話してみようと思ってさ。今どんな格好しているかわかる?」

「ネグリジェか」

「そんなん、もってないよ。今はお風呂に入って火照った体にレースの下着よん」

「レースはいいね」

「着古してケバ立った寝る時用の下着だけど」

「言わなくていいよ。どうせわかんないんだから」

「乳首立っているよ」

「言わなくていいって」

「あのね、真剣な話があるんだけど、聞いてくれる?」

 

 

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