松沢呉一のビバノン・ライフ

アートにおける脇毛表現史[4]-毛から世界を見る 53- (松沢呉一) -2,736文字-

アートにおける脇毛表現史[3]-毛から世界を見る 52」の続きです。

 

 

 

肖像画で袖を確認する

 

vivanon_sentenceここまで見てきたように、絵画においては、題材にせよ、様式にせよ、半ばお約束と化していたため、実際に脇毛が生えていたのか、剃っていたのかわからないわけですが、絵画において脇毛がないことが美であるとされていたのなら、現実に脇毛を剃っていたのがいなかったとは思いにくい。

しかも、日本と違って向こうはずっと洋装です。当たり前ですが。脇が見えるような服が出てくるとともに剃り始めていたのではなかろうか。

絵画は時代設定が古かったり、仮想だったりするので、その時代に着られていた衣装であるかどうかの見極めが難しい。女神やニュムペはたいていベールみたいなもんですし。

参考になるのは肖像画です。肖像画は面白味がないので、ふだんは飛ばすのですが、メトロポリタン美術館の肖像画を一通りチェックしました。

 

以下は16世紀のスペインの作品。

 

Alonzo Sánchez Coello「Portrait of a Woman」

 

相当に階級の高い人でしょう。高速で追突されて鞭打ちになったため、首筋まで隠れていて、手首も見えない。夏でもこうだったんですかね。汗をかいて痩せるダイエット中かもしれません。

 

以下は作者不詳の16世紀のイギリスの作品。

 

「Portrait of a Woman」

 

高貴な人らしい。高貴な人かドラァグクィーンじゃないとこんな格好はしません。首筋から胸にかけては露出していますが、腕が異常に太く、やはり手首までバッチリ隠しています。あの腕の太さはなんでしょう。小腹が減った時のためにビスケットや煎餅が入っているんですかね。

 

 

next_vivanon

(残り 2251文字/全文: 3012文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック