松沢呉一のビバノン・ライフ

アートにおける脇毛表現史[6]-毛から世界を見る 55- (松沢呉一) -2,408文字-

アートにおける脇毛表現史[5]-毛から世界を見る 54」の続きです。このシリーズはこれで終りですが、「毛から世界を見る」は続きます。

 

 

 

脇毛界に一石を投じる新説

 

vivanon_sentenceここまでのまとめ。いろいろな要因によって左右されつつも、ざっくり言えば16世紀くらいから首、肩、胸あたりの露出が始まり、17世紀にそれが加速し、腕周りもシンプルになっていき、18世紀には肘が露出してくる。

フランスについては18世紀末のフランス革命の影響もあって、それまでのゴテゴテのドレスを着ていた層が衰退し、舞踏会をやっている場合ではなくなったってこともありそう。

メトロポリタン美術館の収蔵品で言うと、19世紀になると、ゴテゴテのドレスはアメリカ製が増えていきます。

 

たとえばこれ。1832年のもの。

 

Dress

 

先祖帰りして腕が太い。小腹が減った時のためにポップコーンが入ってます。

 

以下は「1884–86」のアメリカのもの。

 

Dinner Dress

 

歴史なきアメリカのコンプレックスの産物でありましょうか。金鉱を掘り当てた成金の妻や娘用でしょう。売春宿のマダムでもこういうのが好きなのがいそう。腕の部分がどうなっているのかよくわからないですが、どうでもいいや。

 

 

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