松沢呉一のビバノン・ライフ

女子の夢はAKB48だけではない—半世紀以上生きてきて初めて知ったこと 3- (松沢呉一) -2,400文字-

「ブス」といじめられている子にかける言葉—半世紀以上生きてきて初めて知ったこと 2」の続きです。これでおしまい。

 

 

 

私ってブス?

 

vivanon_sentence前回の話は、もっと細かい設定にすると、私の回答がいかに適切であるかがよりわかりやすくなりましょう。

私は小学生の糞ガキたちと遊ぶのが好きです。小学校1年2年くらいだと話が通じにくく、中学に入ると年齢の壁を壊せなくなるので、小学3年から5年くらいが私の遊び相手としては最適です。ただし、その世代でも女子と遊ぶことはありません。通報されかねないので。

でも、公園で一人泣いている女子がいたら、見かねて声をかけるでしょう。

彼女はこう言います。

「中学生になったら、AKBのオーディションを受けようと思っているんだけど、皆がブスだからやめろって言うんです。おじちゃん、私ってブス? 」

顔を見ると、たしかにかわいくない。しかも太ってます。

昨今のアイドルはたいしてかわいくないのが少なくなくて、顔だけ見ればAV嬢の方が美形率が高いですけど、それでもあるレベルはクリアしていますから、この子ではAKBは無理です。

BiSやBiSHが所属するWACKだったら、もう少し幅が広いですが、個性的という意味で幅が広いだけで、全然かわいくないのでも受け入れるというわけではありません。

WACKの渡辺代表はデブが嫌いみたいですから、この点でもこの子は無理です。WACKだったら、一人くらい太めがいてもいいと思いますけど、ダンス、振り付け重視のアイドル・グループでは、動きが悪くなるので太いのを避けたいのはわかります。

私もそうでしたが、小学生のうちのデブは身長が伸びるとともに解消されることがありますので、この点はどうにでもなります。同じく年齢ともとに顔のバランスも変化はしますけど、一年二年でどうにかなる顔とも思えません。化粧でごまかせる範囲を超えており、整形するにはまだ早い。

 

 

AKBよりマキシマム ザ ホルモンだろ

 

vivanon_sentenceそれ相応のルックスやキャラがある場合、アイドルを目指すのもありですが、この子の場合、どうせオーディションを受ければその現実を直視するしかないのですから、早いうちから準備をしておいた方がいい。

私はこう言います。

「うん、オジサンから見ても、ルックス的に無理だな。世の中、何が起きるかわからんから、オーディションを受けてみるのもいいと思うけど、書類審査で落とされても落胆することはない。芸能人になりたいんだったら、お笑いという道もある。役者の世界だって美形だけで成り立っているわけではない。音楽活動をしたいんだったら、演奏家になればいい。ヴァイオリニストやピアニストでも美形を売りにするのがいるけど、実力があれば評価される世界だ。ロックだとむしろ美形じゃない方がいい場合もある。マキシマム ザ ホルモンを見ろ。全員ブサイクだけど、あんな薄汚い四人が今や世界中で人気だ。ルックスより曲やキャラ、コンセプトが大事なのだ。マキシマム ザ ホルモンを好きになると、あのルックスでも必然性があるように思えてきて、ここから逆転が起きる。ドラムのナヲだって、声ばかりか、見た目もだんだんかわいく思えてくる。前田敦子もマキシマム ザ ホルモンのファンだ。AKBより上にいるのがマキシマム ザ ホルモンだぞ。女子ドラマーは今も少ないから狙い目だ。今日から君もそうる透の教則ビデオを観て、この口惜しさをドラムに叩き付けろ!!」

 

 

 

 

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