松沢呉一のビバノン・ライフ

サイトでは客が集まっていたように見えるのだが—ホワイトハンズの何が問題か[5]-(松沢呉一) -2,257文字-

傾聴ビジネスが失敗した理由—ホワイトハンズの何が問題か[4]」の続きです。

 

 

 

傾聴サービスの料金

 

傾聴サービスのvivanon_sentence料金は1時間5000円。のちに30分3000円という料金も出てきます。割引もあったようですが、話を聴いてもらうだけでこの料金は高過ぎるでしょう。それこそ六本木のキャバクラなみ。話を聴いてもらうためにキャバクラに金を出す人が多数いるという坂爪真吾の仮説ではこの値段でも成立するってことですね。

交通費は別途払ってもらうので、経費はほとんどかからない。このあと見ていくように宣伝費をずいぶん使っていたようですけどね。

その上、レポート作成というサービスがあります。

1440文字で5,250円。これも高いと思います。この文字数だったら、パターンをいくつか用意して、細部を差し替えれば完成ですから、楽して儲けようとしすぎかと。

5,250円と傾聴料金を合わせて1万円。レポート込みで依頼する客が毎日1人いて、それをすべて自分で対応すれば坂爪真吾は余裕で食べていけます。2日に1人でも食ってはいけます。しかし、そんなに利用者はいませんでした。

 

 

「お客様」の感想

 

vivanon_sentenceサイトがスタートした翌日の2005年5月8日、「お客様の声」が更新されています。

 

(お客様のプライバシー保護のため、名前・職業は匿名で掲載しております。)

●「恥ずかしい!喋りすぎました!誰にも話したことなかったのに・・・(笑)。
  でも非常に面白かったです」(Aさん:女性・研究職)

●「改めて自分の生い立ちや考えを自分の言葉で話してみると、
  これまで見えなかった色々なことに気付かされて、参考になりました。」
  (Bさん:女性・国家公務員)

●「自分のことについて忌憚無く話せる“自分語り”の場が少なくなっている今、
  『零式.jp』のような拝聴サービスは、とてもありがたい。」
  (Cさん:男性・出版業)

●「(拝聴内容を記録したレポートを読んで)自分のことながら、爆笑して読みました!」
  (Dさん:女性・公務員)

●「(拝聴内容を記録したレポートを)彼氏と二人で笑いながら読みました!
  私などの話を丁寧に記録・文章化してくださり、ありがとうございました。」
  (Eさん:女性・大学3年生)

●「自分がどのような価値観・世界観を潜在的に持って生きてきたのかが、
  この拝聴サービスによって、納得できる形で理解することができた。
  記憶の再組織化=物語化をしたい人にはお勧めのサービスだろう。」
  (Fさん:男性・医療関係)

●「スタッフの方が本当に聞き上手で、ついつい話す予定でなかったことまで
  喋ってしまいました・・・。責任とってください(笑)。」
  (Gさん:大学院生)

●「初対面の人に、弱みを握られた!!(笑)うかつです・・・。」
  (Hさん:製薬会社)

 

 

前月に開業して1ヶ月分の客の中から厳選したってことです。8名います。年齢が出ていないですが、高齢者はいないようです。

 

 

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