松沢呉一のビバノン・ライフ

ピーター・トンプソンとセーラー服—女言葉の一世紀 108-(松沢呉一) -3,043文字-

俗悪文学の規制と個人主義—女言葉の一世紀 107」の続きです。

 

 

 

セーラー服が女学生の制服になったのはドイツからか?

 

vivanon_sentence欧米教育界の新趨勢』には多数の写真が出ていて、以下はその一枚。

 

 

 

 

ウェルネル・ジーメンスという、おそらくドイツの中学の様子です。ジーメンスが設立した学校なのでしょう。

本文にこれについての記述は出ていなかったのですが、どうやら女子はセーラー服です。男子は日本で言う国民服みたいなものでしょうか。セーラー服が女子生徒の制服なのは日本だけかと思っていたのですが、ドイツもそうだったのか!

この本は大正3年(1914年)の発行ですから、日本の女学校ではまだ海老茶袴の時代です。日本でセーラー服が制服に採用される前にドイツの学校で女学生の制服にセーラー服が採用されていたらしい。

湯原元一の著書は教師たちも読んだでしょう。というか、教育関係者しか読まないような内容です。その中に、この写真を見て、日本でも制服に採用したのではなかろうか。大発見。

 

 

始まりはピーター・トンプソン

 

vivanon_sentenceWikipediaにもドイツで男子生徒の制服だったことが記載されているだけです。女子学生の制服になったのは1920年の平安女学院が最初で、それがやがては海外に広がったように読めるのですが、このことをFacebookに書いたところ、英語版Wikipediaに米国では20世紀初頭に女子学生の制服として採用されたと書いてあることを教えてくれた人がいました。たしかにそう書いてあります。

 

※無料部分だけを読む方への注意。ここまでの話は不正確ですので信用しないように。

 

 

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