松沢呉一のビバノン・ライフ

朴槿恵政権打倒の動きは梨花女子大から始まった—なぜ日本には梨花大が存在しないのか(松沢呉一) -3,212文字-

「日本の女性議員率」シリーズ「女言葉の一世紀」シリーズの補足的内容です。

 

 

 

朴槿恵政権崩壊の口火を切ったのは梨花女子大

 

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先週から金相佑君は東京で働き出しています。韓国から日本を経て米国に留学し、あちらで働き始めますが、契約が切れたのを機に韓国に帰国。そしてまた日本へ、というコースです。

先週は二度会っていて、いろんな話をしているのですが、金君はこんなことを教えてくれました。

朴槿恵政権が倒れる最初のきっかけを作ったのは梨花大のデモです

そうだったのか。梨花大に思い入れのある私にとっては聞き捨てならない。

検索してみたら、まず最初はこれ。

 

 

 

 

「レコードチャイナ」2015年10月30日付の記事です。この段階では一連の疑惑はまだ表面化しておらず、朴槿恵が梨花大を訪れることに対して、学生たちが「国民の意思に逆らう大統領が、女性の人権を守るべき梨花女子大に女性大統領として訪問することに反対する」という意思表示をしています。

「梨花女子大、格好いい」 「若者が目覚めつつある」 「立派だ。梨花女子大はまだ腐っていないね」 「さすが、だてに名門じゃないね。うらやましい」といった声がネットでは上がったとのこと。「まだ腐ってない」という評価は、かつて民主化闘争で先頭に立って闘っていたことを踏まえているのでしょう。そして、この大学が抵抗の拠点であった歴史はさらに古い(一番下↓のキャプションを参照のこと)。偏差値が高く、ただ歴史が古いことだけが梨花大の名誉ではないのです。

金君によると、梨花大はかつて花嫁候補ナンバーワンと言われる大学でもあったそうです。そのことは中国でもよく知られ、中国人観光客のツアーが見物に来たことも。花嫁候補でありつつ、体制側の政治家も輩出しているのですけど、闘う時は闘うのがここの生徒です。闘う花嫁候補っていいですね。

 

 

簡略化すれば「梨花大が朴槿恵を打倒した

 

vivanon_sentenceそして、その一年後には国中が梨花大状態に。

 

 

 

 

2016年11月1日付「JBPress」の記事です。

疑惑の中心人物である崔順実の娘が梨花大に不正入学した疑いが出てきて、梨花大はいよいよ大騒ぎに。昨年、この件の控訴審で崔順実は懲役三年の判決を受け、当時の大学総長や学部長らも実刑判決を受けてます

娘は学校に来ていなかったらしいので、学生たちがこの不正に気づいたわけではないんでしょうが、過程を全部すっとばして言うなら、「梨花大が朴槿恵を打倒した」ということになりましょう。

すごいなあ、梨花大。日本で同じことがあったら、女子大の生徒たちが立ち上がるか? 無理でしょ。

何が違うんだろ。

 

 

梨花大と日本の女子大は全然違う

 

vivanon_sentence背景には韓国人と日本人の違いってこともあるので、ただ女子大の違いとして見ていくと間違えそうですけど、梨花大と日本の女子大は現に大きく違います。

金君も「梨花大は日本の女子大とは全然違います」と言います。これについては以前確認した通りです。外から見ただけでも違いは一目瞭然です。

「梨花大は韓国の中で5本の指に入る大学だと思います」

トップはソウル大。あとは知らないですけど、金君はソウル大と梨花大を含めて5校の名前を挙げてました。これを聞きながら、「なるほど、この点からして日本と違う」と思いました。

「日本の大学ベスト5」と言った時に女子大はカウントしない。ベスト10でもカウントしません。偏差値が低いからではなく、女子大は別枠だからです。

医大、芸大、音大、体育大と同じで、一般の大学と同列にしない。お嬢様は粗野な男たちと一緒にせず、大事に扱うのが礼儀です。というわけではなくて、女子大は他の大学と教えている内容が違うからです。

※Googleストリートビューよりソウル大学構内(道からは入れないですが、スポットがあります)。こんな池や森があります。「国立大学にはヘビがいる」という我が説は韓国にも通用しそう。

 

 

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