脇毛を剃ってはいけない女子校がある?–毛から世界を見る 58- (松沢呉一) -2,740文字-
「成績と個性とヒゲを伸ばすなら女子校—毛から世界を見る 57」の続きです。
「女子校出身者はヘルスで働くのに抵抗がない」との説
辛酸なめ子著『女子校育ち』によると、抑圧の強いカトリック系お嬢様学校では会話に下半身ネタが一切出なかったりするとのこと。男の視線はないけれど、神の視線やシスターの視線があるのです。女子校は男の視線のないところで伸び伸び生活できるはずなのに、これでは台無しです。
そういう学校でも学外では適当にうまくやっているのがいるでしょうけど、奥手グループだと、ヒゲまで生える。
私が接点を持つ範囲でも、卒業するまでエロ話を友だちと一切したことがないというのがいます。男でも稀にはいるみたいですけど、その層が女子は大きい。
それが高校を卒業すると風俗嬢をやっていて、チンコだ、マンコだって言っていたりする。カルトから脱した状態です。
でも、厳しい規律があった時と違って、自身で判断をしなければならず、その判断力を養ってきていないので、無軌道になるのが出てきます。
ヒゲの生えたヘルス嬢は、こんなことを言ってました。
「ヘルスで働くことは全然抵抗がなかったですよ」
このアンバランスさが面白くもあったのですが、今になってみると、これまた女子校だったからか。
もし共学だったら、内心どう思っていようとも、「できることならしたくなかったですけど、学費のために勇気を振り絞りました。今だって緊張して震えてます」と言った方が男受けがいいことを学習します。男の視線にまみれているから、対男性の処世術としてそういう受け答えをやるのであって、本物のウブは案外あっけらかんとしているものです。
ヘルス嬢を軽快にできてしまうのも「そういうことをしていることが男にわかると軽蔑される」という考えが生じていないためと言えます。つまりは、「女が望んであんなことをするわけがない」と語りたがる人たちの存在が、そこに従属し、媚びる女たちを生み出しています。
女子校出身者は電車の中でウンコの話をするわ、ヤリマンになるわ、風俗嬢になるわ。私は全部OK、むしろ歓迎ですけど、キャバ嬢や風俗嬢や銀行の窓口担当をやるなら、ヒゲとご飯粒は気にした方がいいように思います。
※Googleストリートビューより。ヘルス街を散策していて迷い込んだ伊勢佐木町の美容室「SICILY」。床屋だとヒゲや顔の産毛までを剃るわけですが、美容院では剃らないんだっけか。
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