松沢呉一のビバノン・ライフ

女子大の人気低落—私立の女子大は消滅へ(上)-(松沢呉一)-3,215文字-

 

女子大の改革はほぼ不可能

 

vivanon_sentence「日本の女性議員率」シリーズで、女性議員率が低いのは、政治家になろうとする人材やその資質のある人材が少ないからであることを指摘しました。その改善のためには学生の段階でその素養と意識を高めていく必要があることも確認しました。

政治家向きの学問である政治学、経済学、法学等の社会科学系を専攻する女子率は着々と上がっているのだから、今後は能力が伴った政治家志望者が増えていくはずだというのが私の読みです。しかし、それには時間がかかるのも事実。

それを待てない人たちが「クオータ制を」などと言うものだから、そうも急ぐのであればその環境を精一杯整える努力をすべきであり、それもやらずにただ女ということで候補を立てていくと、政治家に向いていない人たちが政治をやる不幸が増えるばかりです。手っ取り早いのはタレントやスポーツ選手です。三原じゅん子や今井絵理子みたいなんがこれ以上増えていいのか。

では、具体的に何ができるのか。共学の大学はすでに女子学生を増やすための対策を講じていて、東大も批判されつつ努力をしております。その努力の甲斐あって女子の大学進学率が上がり、社会科学系を専攻するのが増えているわけです。

その上できることは女子大の改革です。聖域にしておくべきではない。家政学や文学を柱にしているのは、明治の女学校からの伝統であって、嫁入りのための教養という範囲からなお抜けていないことの証左です。

一般教養として、あるいは学科の中で法律を教えているケースはあっても、法学部が存在している女子大は調べた範囲で京都女子大くらい。おかしいでしょ、これ。民法や労働法、あるいは売防法のように女という性と密接に関わる法律はあるわけですから、女子大ならではのアプローチだってあるはずなのです。現状の女子大が売防法を扱うとロクなことにならないですけど。

このことは学生や受験生のみならず、社会に対する「女向きの学問は家政学や文学である」「つまり女は政治に向かない」というメッセージにもなっているのですから、国会に対して文句をつけるんだったら、女子大に文句をつけた方がずっと建設的です。つうか、女性有権者も選択した結果なんだから、国会に文句つけることにはなんの意味もないべさ。ただの憂さ晴らしであり、根本的な解決から目を逸らしているだけです。

現に海外の女子大は日本と違う発展を遂げています。できないはずがないのです。やらなかっただけ。お隣に梨花女子大という格好の手本があったにもかかわらず。

※奈良女子大はストリートピューでキャンパス内の一部に入れます。嬉しい。

 

 

低下する女子大の偏差値

 

vivanon_sentenceと言うだけ言って、放りっぱなしはよくないので、その後もいろいろと調べ続けているのですが、ここまでの結論を言うと、無理です。今から日本で梨花女子大を生み出すことは完全に無理。

個別の大学の、小手先の改革はなおできるかもしれないけれど、できるとしたらお茶の水女子大と奈良女子大くらい。つまり国立大です。それ以外の私立の女子大ではすでに手遅れです。

ほぼすべての私立女子大が凋落への道を辿っていて、改革なんてやっている体力も気力もすでにないでしょう。現に百年できなかったことがこの状態できるはずがない。無理してやれば死期を早める。

実のところ、私も女子大がここまで凋落しているとは思ってませんでした。

もっともわかりやすい女子大の凋落の指標は偏差値の顕著な低下です。

 

 

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