松沢呉一のビバノン・ライフ

連日セックスしてきた人の話—キューバに魅せられた人々(下)[ビバノン循環湯 377]-(松沢呉一) -3,255文字-

国や文化を知るにはセックスから—キューバに魅せられた人々(上)」の続きです。

 

 

 

セックスと結婚制度

 

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カリブ海ってだけでセックスにおおらかな気はしてしまうのだけれど、おそらくこれは社会制度にも関係していそうです。

「セックスにオープンなのはいろんな理由があるんだと思うんですけど、結婚制度がガチガチじゃないことも関係しているように思います。結婚していても遊ぶし、本気になるとあっさり離婚する。だから離婚が多くて、三度結婚したなんて人がザラにいるんですよ。バツイチなんて当たり前。ストレートだとしながらバイみたいな人たちもけっこういて、前は女とつきあったから、今度は男とつきあうみたいな人たちがいる。男でも女でもそうなんですよ。全部がゆるいんです」

社会保障が発達していると、子育てに不安がないので離婚が増える。かつてのソ連がそうでした。

結婚制度の枠組みがゆるいと、男女の枠組みもゆるむ。セックスもゆるむ。よって同性愛にも寛大になるってことなのかな。もちろん、もともとの国民性もあるだろうし、キューバは宗教的禁忌が極端に薄いってこともありそう。同性愛はともあれ、セックスに寛大なのは宗教的禁忌がほとんどない中国に通じるところ。

結婚制度と同性愛の関係をそれほど簡単に説明できるわけではないにせよ、なにがしかの関係がありそうにも思います。ジャマイカでのゲイ差別が激しいのはラスタの宗教的同性愛否定が影響しているのと同時に、結婚制度や家族制度がきついのかも。ここはよくわからないですが。

同性婚を認めることは結婚制度をゆるめる結果をもたらすのか、強固にすることをもたらすのか。どちらかといえばゆるめることになるんじゃないかとも思うのですが、そんなことくらいでは日本の結婚制度は揺るがない。制度の問題ではなく、それを支えようとする一人一人の意識があるので。

 

 

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