非本番性風俗は禁欲の商品化である—ペッティングの本来の意味と目的-[ビバノン循環湯 378]-(松沢呉一) -2,707文字-
「スナイパー」の連載に書いたものです。
ペッティングの正しい用法
ペッティング……心の奥底にある襞とチンコの裏筋がむず痒くなるような懐かしい言葉です。
私が十代の頃はこの言葉が雑誌によく出ていたもので、中学になって覚えなければならないエロ用語の筆頭でした。「Aはキス、Bはペッティング、Cはセックス」と定義され、「あいつとあいつはBまでヤッたらしい」「ナニ? ペッティングしたのかよ」なんて会話もしていたものです(本当はそんな記憶はあんまりなくて、この言葉はシャレでしか使わなかったように思います)。
最近はめっきり聞かなくなって、今時の若者たちは意味がわからないかもしれませんが、ペッティングというのは、セックスに至らない性戯のことです。着衣で、あるいは裸で抱き合ったり、互いの体をいじりあったりすることをこう総称します。
「そりゃ前戯じゃないんか」と突っ込まれそうですが、前戯はセックスを前提とした行為であるのに対して、ペッティングはセックスがないことが絶対条件なのです。したがって、手コキで射精しても、フェラで射精しても、そこで留まればペッティングです。
「セックス用語テスト」で「ペッティングの例文を書きなさい」という出題に対して、「昨日彼女とセックスする前に、公園で二時間ペッティングをした」と書いたらバツです。「ソープランドに行って、まずマットでペッティングした」も間違い。「ヘルスに行ってペッティングした」は正しい使い方です。
※Auguste Rodin「Pygmalion and Galatea」
ペッティングという言葉が日本に入ってきたのは昭和二十年代
この言葉が日本で広がるきっかけは、「キンゼイ報告」こと『人間男性の性行動』と『人間女性における性行動』が発売されて、社会問題と言えるくらいの話題になったことにあります。昭和二九年のことでした。
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