トイレでも勉強—鴎友学園出身者からのメール(2)-(松沢呉一)-3,147文字-

2018年04月14日 22時46分　
カテゴリ：ヘビ • 世田谷区 • 女子高 • 男女別学 • 鴎友学園出身者からのメール
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「学校のカウンセリング室は予約でいっぱい—鴎友学園出身者からのメール(1)」の続きです。

トイレでも勉強を怠らない鴎友の生徒たち

ユリカモメさんのメールを続けます。

カウンセリング室は衝撃でしたが、以下もそこそこ衝撃。

鷗友は記事の通り努力型なので、みんな勉強量が多い。高3では休日だと12時間普通な感じでした。トイレの中にも生徒が自主的に作った暗記まとめのルーズリーフが貼ってあって、駅から学校までの歩く道もみんな単語帳眺めて、という風景よく覚えてます。

私はほんとに馴染めなくてやばかったです。という思いもありましたが、カエルの解剖はむかーしからやっていて、それだけじゃなく、フナとか、いろんなのやったな。白衣着て。必須の化学実験もめっちゃ多いです。園芸も毎週あります。みんなおっきい採りたて大根抱えて帰路につきます。

他にも英語に力を入れていて、英語を英語でしか習いません。高3くらいではじめて英語の授業に日本語出てくるのかな？　英語の本だけの図書室も普通の図書室とは別にあって、理系もですが英語できる子も多くて受験的には強みでした。

トイレにまで…。シッコする間にひとつくらいは単語を覚えますからね。ウンコすればみっつくらい覚えられます。ウンコをいっぱいする生徒は成績がいいのです。

これを学校側ではなく、生徒が自主的に出しているところに別世界を見ました。

たいていの学校で、生徒たちは必死に勉強をしていることを知られるのが恥ずかしいという感覚があって、勉強しているのに「してない」と装うのが通例です。そのため、皆に見られる登下校の時間まで単語を覚えるなんてことは試験前以外はまずなかったように記憶します。

つうか、私は雨の日以外は自転車通学だったので、登下校時に勉強なんてできません。高校時代は成績が悪かったので、「ホントは勉強しているだろ」と疑われることもなく、装うも何もありません。

勉強したのは試験前だけです。理数系については試験前も勉強しませんでした。してもさっぱりわからないですから。いつも0点というわけではなくて、5点とか10点をとることもあるのですが、それは勘が当たっただけです。

※鴎友学園の外側を一周したのですが、敷地が広い。農園があるくらいで。フェンスが邪魔ですが、新入生がこれから種を蒔くと思われる農園

力を合わせて大学に

鴎友では「みんなで大学に合格しよう」って空気が作り上げられているんでしょう、きっと。足の引っ張り合いよりはその方がいいですわね。これは先を見ているからかもしれない。クラスや学年の目先の上位より、大学受験を目的にしていると、全員のレベルがアップした方が有利です。だったら、助け合った方がいい。

努力型って、他の言葉で言い換えると「ガリ勉」ですね。私がガリ勉という言葉で思い浮かべるのは決まって男子です。漫画やテレビのコントでもそうでしょう。分厚い眼鏡をかけて、ニキビ面で、鉢巻きをして、どてらを着て、夜食のインスタントラーメンを食べながら、深夜まで勉強しているイメージ。壁には「合格祈願」といった文字が書かれた貼紙。

対してガリ勉女子はヴィジュアル的にイメージしにくい。少女漫画にはあるんですかね。今時どてらを着ないし、夜食も女子だとインスタントラーメンではなく、カップスープになりそうですから、スマートにならざるを得なくて、面白味がないってこともありましょうけど、イメージがないのはそれだけ勉強は男のものだったってことです。ガリ勉女子万歳です。私と話は合わないと思いますが。

受験英語だったら、単語と文法を覚えればいいのですが、使える英語を教えるのもポイントが高い。

※鴎友学園の裏手は高い木で覆われていて、中はまったく見えません。体育の時間を望遠レンズで狙うマニアが来るのを避けるためでしょうが、この高い木が外の世界と中の世界が隔絶していることを象徴しているようです。