松沢呉一のビバノン・ライフ

権利の拡大は他者の権利を制限する—KaoRiとアラーキーの件から考えたこと(3)-(松沢呉一)-3,321文字-

パブリシティ権は主張できる余地があるかもよ—KaoRiとアラーキーの件から考えたこと(2)」の続きです。

 

 

 

言うだけ言ってみる

 

vivanon_sentence雑誌用に撮った写真を写真集に入れられたことに対してカメラマンにクレームをつけて金を払わせたとモデル自身から聞いたことがあります。とくに著名なモデルではなく、タイトルに名前が出たわけでもなく、合意外の用途、様態でもないため、法的には根拠がない可能性が高いのですが、契約書がなかったがために支払わせることができたケースと言えそうです。

感情的には十分理解できます。雑誌の撮影に対してギャラが払われていても、写真集は別途出版社からカメラマンに印税が払われているのだから、その一部を寄越せって気持ちになるのはそうおかしくない。おかしくないけれど、法的には要求する根拠はなくて、「言うだけ言ってみたら、金くれた」って話です。

 

 

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