松沢呉一のビバノン・ライフ

「母」を売りにする候補はスキャンダルに弱い—(条件つきで)頑張れ! 豊田真由子 下-(松沢呉一)-2,840文字-

「母」を売りにしない候補者に投票を—(条件つきで)頑張れ! 豊田真由子 中」の続きですが、この回は前川恵についてもう少し調べてみようと思ってペンディングにしたまま、更新するのを忘れてました。前川恵は昨年の衆議院選で落選していますので、いまさら出す意味もないのですけど、このシリーズは中編まで出して止まっていたので、終わらせておきます。

 

 

 

現状のままでは女性候補は知名度と家族をアピールするしかない

 

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政治家になる堅実なコースとしては、官僚経由、法曹界経由以外ももちろんあるんですよ。労働組合出身、業界団体出身、企業経営出身など。どれも男が強い。女が強いのは業界団体の一部や消費者団体くらいでしょう。

たとえば看護師の業界団体である日本看護連盟がそうですが、ここはすでに国会議員をバックアップしており、4名中3名が女性です。

動かせる票数には限りがありますから、簡単に「あと何人か」というわけにはいかない。

そういう経歴、箔、組織票がないと知名度になる。

ニュースキャスター、ジャーナリスト、アナウンサー、評論家から政治家というパターンもよくあって、ここは男女率がたぶんそう変わらないですけど、知名度に依存する候補者は質のばらつきが大きいのが特徴。

知名度が弱い、あるいは能力が低い場合は家族を売りにしやすい。

たとえば「長年国会議員として国民の皆さまのために働かせていただいた父が昨年亡くなりまして、その遺志を継いでこのたび若輩者ながら私が政界に出ることになりました」といったように、家族を売り文句にするしかなくなる。親族に政治家がいなければ「私は二児の母です」になる。

 

 

母を売りにしたら下半身スキャンダルはダメージが大きい

 

vivanon_sentenceこのところ、今井絵理子のことで頭がいっぱいな私ですから、演説も聴いてます。

 

 

 

 

見事に知名度と母。

声はよく通るし、テンポもいい。今井絵理子の演説はあんまり評価されていないという話もあるようですが、それはワンパターンで中身がないということかと思われます。

しかし、街頭の演説はこんなもんでしょ。短い時間で伝える必要があって、「あとは選挙公報で」「続きはインターネットで」でいい。

ただし、ここまで「母」をアピールしたら、これで投票した人たちが不倫騒動を知って「裏切られた」と思いますよ。子どもを親に預けて、母は妻子ある男と新幹線でいちゃつき、パジャマ姿でホテルでウロウロって…。

家族を売りにすると、プライベートでの行動が政治家としての信用に直結してしまう。そりゃ、セックスくらいするわけですけど、下半身スキャンダルに弱いのです。本当は「母」や「子」で投票する側が間違っているんですけどね。

 

 

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