松沢呉一のビバノン・ライフ

婦人参政権獲得の歴史を再確認—日本の女性議員率 16-(松沢呉一)-3,425文字-

クオータ制に反対するフェミニストたち—日本の女性議員率 15」の続きです。

 

 

 

各国の婦人参政権獲得史を確認する

 

vivanon_sentence世界で最初に婦人選挙権が認められたのは1869年、米国ワイオミング州です。今から1世紀半前のスタートです。日本ではまだ明治2年です。ただし、この段階では投票することのみができるようになっただけです。

初めて婦人参政権(被選挙権を含む。以下同)が認められたのは1894年、オーストラリア南オーストラリア州でした。

ヨーロッパで最初に婦人参政権を獲得したのはフィンランドで、1906年のことです。ここまでは一世紀以上前。

イギリスで婦人参政権を実現したのはちょっと遅れて1918年。今年で100年です。イギリスではサフラジェットと呼ばれる女たちが死者も出るほどの激烈な闘いをしたことはすでに見た通りです。婦人参政権を獲得するにはそれだけの闘いがあり、それだけの犠牲があったわけです。

これに1年遅れて1919年にドイツで婦人参政権が成立しています。

米国ではワイオミング州の婦人投票権成立以降、いくつかの州で選挙権のみならず、参政権を獲得してましたが、1920年に全州で全面的婦人参政権が実現。

イギリスやドイツ、米国については、第一次世界大戦によって参政権獲得運動が停滞した側面もありつつ、戦争によって労働力が必要とされて女性の社会進出が実現し、そこから婦人参政権成立という流れになった側面が多かれ少なかれあります。

1930年代に入ると、トルコ、スリランカ、タイなどアジア各国がそれに続き、南アフリカでも白人女性に限って参政権が実現しています。

先進国において出遅れたのはフランスです。制度改正の手続きの違いもありそうですが、フランスの保守的側面が出たと言っていいかもしれない。

※英国婦人参政権実現から100周年を伝えるCNNの記事

 

 

日本では?

 

vivanon_sentence

以下は映画「未来を花束にして」の予告編です。

 

 

 

 

この頃、日本ではどうなっていたのでしょう。日本でも戦前から婦選獲得同盟等の活動があり、国会でも何度か審議されていますが、女学校の校長ら女流教育家たちが反対をし、婦人参政権獲得の運動の妨害をしていたことはすでに見た通り。

 

 

next_vivanon

(残り 2627文字/全文: 3647文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ