松沢呉一のビバノン・ライフ

フリーが少ない日本のセックスワーカー—女王様の価格(2)-(松沢呉一)-3,242文字-

質が高くて値段が安い日本の女王様—女王様の価格(1)」の続きです。

 

 

 

日本では店単位になってしまう事情

 

vivanon_sentence前回見たように、店という業態になるのが日本の特性です。そうではない人たちが大挙して登場したのは戦後のパンパンの時代くらい。今現在、個人が部屋を借りる方法が定着しているのは広島くらい

フリーだとリスクがありますから、そうそう勧められることではないですが、それはどこの国でも同じです。日本ではセックスまでするとなれば売防法の勧誘で逮捕されるリスクがありますが、そうじゃなければ風営法の届けを出せばいいだけです。しかし、やる人は少ない。

それが主たる理由ではないにせよ、ヘテロ向けであれゲイ向けであれ、セックスワークに対しては社会的視線が冷たく、警察も信用ができないことも関わっていそうです。弁護士だって同じ。セックスワーク否定派の弁護士がゴロゴロしてますから、安心して相談することもできない。道徳的セックスワーク否定論者の拠点である婦人相談所に行ったらセックスワーカーであることをバラされます

そういう社会ですから、店に頼ることでその不安を少しでも解消する。セックスワークを蔑視して搾取だのなんだのと騒ぐ人たちが店を成立させ、金を抜かれることを促進していると言えるかもしれない。

※他の業種ではまず見ないですが、SMクラブやSMには英語対応したサイトになっているところもあります。日本に仕事で来るようなアジアの人たちはたいてい英語ができますしね。

 

 

店は料金が均一化する

 

vivanon_sentenceその理由はともあれ、また、その是非はともあれ、現に日本のセックスワークは店単位になっていて、店だと、個人の人気や能力にかかわらず、価格はほとんどの場合は統一です。

ある個人だけが別料金になっているケースもあるにはありますが、女王様に関して言えば、地方都市のSMクラブが東京の有名女王様を呼んでゲストプレイをしてもらう際のイベント価格だったり、ママはほとんど接客をせず、たまにストレス発散の意味もあってプレイをしていて、その場合は特別料金になることがあるくらいでしょう。

現にそういう場合は別料金にできるわけですけど、当人も別価格は嫌がることが多そうです。「なんで××さんだけ」みたいなやっかみが始まります。人気があるから当然であり、誰もやっかんだりしなくても、やっかまれるのではないかと気にしてしまう。和が大事ですから。それと、一度上げて客が激減した場合にも元に戻しにくいことを危惧しそうです。

本来であれば、ムチャクチャ人気があって、予約ですぐに埋まるのであれば、料金を高くすればいい。その分本数が減っても実働は少なくて済む。ところが、人気があるから高いのは当然ということになりにくく、どんな人気のある女王様、どんな技術のある女王様でも圴一料金になってしまいます。できるプレイの幅が広く、その部分がオプション料金になっていて、そこで差がつくことはありますが、これは個人ではなく、プレイの料金差。

※LAのSMクラブ「SANCTUARY」。ここは1時間200ドル。そんなに日本と変わらない。やはり店になると料金は低く抑えられる傾向があります。

 

 

海外の女王様は活動範囲が広い

 

vivanon_sentenceここ数日、世界の女王様のサイトを見ているのですが、海外の女王様たちは活動範囲が広い。

インターネットの普及によって、どこに行っても客を探せるようになって、セックスワーカー全体、活動範囲が拡大している傾向があります。観光気分でよその国に行き、その地で仕事をして交通費と滞在費を稼ぐ。日本にもけっこう来ています。

 

 

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