松沢呉一のビバノン・ライフ

猫による野生生物の大量殺戮は容認すべきではない—江東区の公園について語る-(松沢呉一)-3,373文字-

 

江東区の公園

 

vivanon_sentence江東区というと、工場や倉庫、そして運河のイメージが強いわけですが、注目すべきは公園です。

埋め立て地の公園だったり、運河を利用した親水公園だったりするのですが、古くからある自然をそのまま残す発想の東京西部の公園とは違って、今の時代に求められる公園を計画的に作っていて、感心することが多いのです。

嫌われ者のヘビですが、そのヘビの住処となる石を置いて、その趣旨を説明する看板を立ててあって、好きも嫌いも含めて自然なのだということを理解させようとしていたり。きれいな花だけが咲いているのは花壇であり、花屋であって、ムシもカエルもヘビもいるのが自然。

夢の島も今では木が生い茂る公園に変貌しています。あの下にゴミが埋まっていると誰が思いましょうか。ここにもヘビがいます。

江東区の最南端、若洲海浜公園もいいですよ。ゴルフ場ありぃの、キャンプ場ありぃの、釣り場ありぃの。23区内とは思えない風景が見られます。

 

若洲海浜公園の南端部

 

ここもゴミでできた土地です。若洲海浜公園は1990年に開設されており、それから四半世紀になるわけですが、ここにもヘビがいます。荒川の出口に位置するため、おそらく荒川から流れ着いたのが定住したのだろうと思われます。

江東区や江戸川区は海と川と運河の水に浸っているような場所ですから、とにかく水が豊富です。江東区や江戸川区では道に迷いません。迷ってもすぐに川や運河にぶつかりますので、それらを把握しておけば、だいたいどこにいるのかわかります。スカイツリーも見えますし。

ヘビは水路移動するため、思いのほかヘビスポットが多いことも江東区と江戸川区に共通する特徴です。

 

 

台場公園と爬虫類

 

vivanon_sentence数日前に初めて台場公園に行きました。レインボーブリッジの江東区側出入口の脇にあります。

 

 

レインボーブリッジから見た台場公園

 

ここは昨今のベイエリア公園とは違って、ペリーの黒船来航に備えて作られた品川台場の跡地を、1928年(昭和3)に公園にしたものです。90年の歴史があります。

周辺部は下草が刈られて、きれいに整備されていますが、真ん中は窪みになっていて、その周辺には木が生い茂っています。

上部には砲台跡がありますが、窪みに降りたところで、陣屋の礎石らしき石が残っているだけで、これといって見るべきものもなく、ほとんど人はいません。台場公園自体、訪れる人は1日百人もいないそうで、この日は天気がよかったため、折りたたみの椅子を出して日光浴をしている人が1人いて、あとはデート中らしきカップルが2組いただけでした。

夜は青カンするのがいそうだと思ったのですが、青カンできる場所は人がほとんどいないってことであり、生物環境がいい場所でもあって、確実にヘビがいるなと思いました。このあとその証言も得ています。

ここがヘビ向きなのは、ジメジメしつつも日当りがいいこと、人が少ないこと、石垣があること、そして猫がいないことです。猫は、人が多く訪れて飲食店もある、この南側の辺り、つまりフジテレビがある方にいるらしいのですが、この日は見かけませんでした。

 

 

猫は野生生物を滅ぼす

 

vivanon_sentence以前から言っているように、猫は自然環境に棲む生物の大敵です。魚類、両生類、爬虫類、鳥類を大量に殺戮しています。人間からエサをもらっていても、いわば遊びで殺すわけです。

 

 

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